戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語⑧ -合格のご褒美はタバコ-

1月に入ると共通一次試験が待っていた。

この時点で、防衛大入試の合否は出ていないので、全力で取り組む必要があった。

しかし、共通一次試験の結果はあまり良くなかった。もう、心はすっかり防衛大が第一志望に変わっていたのだと思う。

共通一次試験の自己採点を踏まえて、地元の国立大学2校を受験することになった。

 

2月のある夜、母が呼ぶ声がするので1階に下りて行くと、「おめでとう!」という言葉とともに、母は私にタバコを1本差し出した。

防衛大に合格したのだ。

私は高校生のころから親に隠れてこっそり自分の部屋で喫煙していたが、「もう隠れて喫煙しなくてもいいよ」という母なりのご褒美だったのだろう。

ちなみに両親ともに喫煙者だった。

私は夜な夜な両親のタバコをくすねては自室で吸っていたが、すでにバレていたのだ。

防衛大合格の夜、私は初めて両親の前で一服した。

至福の一服だったに違いない。