一度自衛隊を辞めたい思うと、もう何も怖いものは無かった。
やぶれかぶれの状態だった。
ある日、幹部候補生学校内にある屋外BBQ場で団結会と称する大宴会が開催された。
防大卒課程だけではく一般大卒課程なども参加したその団結会は教官を含めると200名くらいの規模で行われた。
宴もたけなわになると、区隊ごと宴会芸が始まった。
区隊というのはクラスのようなものである。
私の脱ぎ芸が始まったのはこの頃からだった。
私は酔って気分が高揚し、まだ日が高く上っている最中、屋外BBQ場で200名の前で最後にはパンツ一丁状態となった。
防大卒の同期は、手拍子でこれを煽った。
しまいには、部隊選抜の年配の候補生や区隊長たちまでがこれに参加する状態となった。
防大ではこのような事は日常茶飯事だった。
しかし、一般大卒の区隊には女性候補生もいた。
あとから聞いた話だが、日に焼けた顔に短髪が良く似合う気の強そうな一人の女性候補生が彼女の区隊長に泣きながら訴えたそうだ。
「こんなの耐えられません!!!」と。
これに対して、区隊長は「こんなので弱音を吐いていると部隊に行ったら通用しないぞ。部隊ではこんなのばかりだ。お前はいつも泣いて逃げるのか。」と言い返したそうである。
まだセクハラとかパワハラとがが問題となっていなかった時代である。
今なら完全にアウトだろう。