戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第77 -恥ずかしい まわし姿-

私は、奈良基地での調理実習で知り合ったMちゃんと休日になると2人で観光地やレジャー施設を巡って楽しんだ。

Mちゃんは、長身に長い髪を垂らしていて大人びた容姿だった。

そのMちゃんが20歳のあどけない顔で鹿にせんべいをあげる様子はまさにギャップ萌えだった。

私の失恋の傷は完全に癒され、Mちゃんにのめり込んでいった。

 

幹部候補生課程では相撲が教育に取り入れれらている。

古の都である奈良の地で、日本の伝統的な相撲を体験して身体と徳操を鍛えるのが目的だった。

男子全員、裸に相撲の回しを身につけ屋外にある土俵に立つ。

洗濯したとはいえ、代々申し送りの回しを身に着けることに少し抵抗があった。

助教がシコやすり足、テッポウの仕方まで相撲の基本を教えてくれる。

基地内見学のため基地の隊員に引率された調理実習の女子大生の集団が、私たちが教育を受けている土俵のそばを通った時は流石に恥ずかしかった。

宴会でスッポンポンになれるのに、女性に回し姿を見られることは恥ずかしいのである。

最後に相撲トーナメントで教育を締めくくる。

頭と頭がゴツンとぶつかる音が初夏の奈良の空に響いた。