戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第85 -地上準備課程開始!!!-

防大卒のパイロット要員はA(アルファー)とB(ブラボー)の二つのクラスに分かれる。

最初にAが第1初級操縦課程に入り、その2か月後にBが操縦課程に入る。

Bは同期たちから操縦課程でのノウハウを教えてもらえるメリットがある「次男」のようなものだった。

私はBに決まった。

ややおっとりした性格の私にとってBは最適のクラスだった。

Bの操縦課程開始は冬が終わる3月末からである。

それまでの間、防府北基地をベースに地上準備課程を履修することになる。

地上準備課程の主要訓練は、千葉県習志野にある陸自空てい団での落下傘降下訓練と東京立川にある航空医学実験隊での訓練だった。

その間は、基地のプレハブ小屋で航空英語の授業や体育などを行った。

航空英語は事務官である英語教官が担当した。

航空機も操縦したこともない私たちにとって管制官との交信要領などはまるで未知の世界であった。

しかし、英語教官自身もパイロットではないので授業内容はイマイチだった。

史跡研修として近くの徳山市にある「回天」記念館にも行った。

母方の叔父が元回天の操縦士であり、機材故障で2度出撃中止となったことを想い出した。

この時の私には死生観などはまるでなかった。

商社マンに憧れたイケイケのK候補生と一緒に徳山市のディスコ「キング&クイーン」に行っては人生を謳歌している23歳の自分がいた。