戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第118 -小松支店営業部配属-

赴任地の小松基地に到着した。

日本海に面した小松基地は、滑走路を小松空港と共有し、行政や経済の中心である金沢市や観光で有名な片山津温泉などがすぐ近くにあった。

航空自衛隊としては、日本海に広大な訓練空域を有するわが国防空の最前線というべき緊要な基地であった。

私が配属された306飛行隊は、F-4改戦闘機を最初に運用開始した飛行隊で、他の2つの飛行隊(新田原301、那覇302)に対して長兄的な精鋭部隊だった。

最初は基地内の幹部独身寮に居住することになる。

この独身寮がかなりボロい。

お化けが出るのではないかという不気味な感じだった、

建物が古いから居住者の整理整頓もいい加減だった。

段ボール箱に荷物を突っ込んだまま生活している者もいた。

私は、整備幹部のO君と同部屋となった。

若手パイロット の朝は早い。

朝は5時に飛行隊の鍵を開け、皆が出勤してくる前にコーヒー作りや掃除などの雑用をこなす。

まだフライトは出来ないので、日中は指揮所で勤務する先輩パイロット のお手伝いなどを行う。

夜は、鍵閉めまでを行う。

このため最後の先輩パイロット が帰るまで帰ることが出来ない。

「早く帰れ〜、早く帰れ〜」と毎日、念力を送っていた。

夜10過ぎにようやく寮に帰ることができた。

これを毎日繰り返す。

期待と不安が入り混じった気持ちだった。