ある保育園で人間関係のもめごとが起こっていた。
園のナンバー2の主任が同志の保育士たちと結託して、園長の指導力の無さに反発しているのだった。
確かにその園長は少しリーダーとしてのマネージメント力に欠けているようなところがあった。
保育園の本質的な問題として園長のリーダーシップがある。
保育士として何十年も勤務してきたという理由だけで、きちんとしたリーダーシップを学ぶ機会がないまま園長に担ぎ出される者もいる。
本当はそんな性格じゃないのに。
弁の立つ主任をリーダーとする「主任軍団」は、普段必要最小限のこと以外、園長と会話することなく淡々と業務を行っているが、あからさまなイジメの構図となっていた。
園長は耐えきれなくなり体調不良で休むことが多くなっていた。
エリア担当は、園長と主任軍団との間に入り事をうまく納めなくてはならない。
園長の方ばかり擁護すると、主任軍団が騒ぎ始める。
年下の上司と一緒にいつも夜21時過ぎまで保育士たちとミーティングの場を持った。
正直なところ、自衛官として男性ばかりの職場しか知らない私にとって、双方が何をしたいのかよくわからなかった。
きっと男性と女性の違いなのだろう。
男性ならば、問題に対して具体的な解決方法を見つけ出すことを目標とするが、今回の場合は、結局、自分たちの話を聞いて賛同してくれないと気が済まないのだと思った。
自衛官という男性社会で長年過ごした私にはまったく理解できない思考だった。
また、別の園では、若いかわいらしい保育士と園児のお父さんとの怪しい関係の処理に奔走した。
当該保育士は、異動の処分としたが、その処分の仕方に納得できない保育士の父親から直接叱責を受けることもあった。
毎晩遅くまで、PCの入った重い鞄を持ってあちこちの保育園を回ることにだんだん嫌気がさしてきた。
ずっとこの仕事を続けられる自信がなかった。