戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

防衛大学校物語 第129 -前向きの事故-

ランキング参加中小説 novels フライトに対しては厳しいが、飛行機から離れると非常にユーモラスなT隊長から学ぶことは多かった。 S先輩が2機編隊長練成訓練中だった。 編隊着陸の際、僚機に余裕を持たせるために自機は滑走路の端ギリギリに接地しすぎてし…

防衛大学校物語 第128 -小松鬼伝説-

ランキング参加中小説 novels 航空学生出身で私とほぼ同年代のM2尉と仲良くなった。 M君から基地の独身寮を出て一人暮らしをするため、不動産屋に車で連れて行って欲しいと頼まれた。 こうして私はM君を不動産屋に送って行くことになった。 早速M君は契約し…

防衛大学校物語 第127 -アラート待機所のお化け-

ランキング参加中小説 novels アラート待機となると外国の不明機が日本に近づくとすぐに離陸できるようにアラート待機所で24時間待機する。 F-4は2人乗りの戦闘機のため、4機分8名のパイロットが一緒に寝泊りする。 朝に上番すると日中はテレビを見たり、…

防衛大学校物語 第126 -芸は身を助ける-

ランキング参加中小説 novels 私が赴任した当時の飛行隊長は特徴的な人だった。 フライトに対しては厳しかったが、一方、地上に降りるとユーモアにあふれる隊長だった。 私はいつも隊長から「緻密な準備、ずさんなフライト」と大目玉を食らっていたが、宴会…

防衛大学校物語 第125 -憧れの外車を買う-

ランキング参加中小説 novels 小松基地で勤務することになったが車が無いとどこへも行けなかった。 そこで遂に車を購入することとした。 防大3年時に、ボルボのワゴン車が流行り始めた。 将来、ボルボのワゴン車を購入したいと思い、そのころからコツコツと…

防衛大学校物語 第124 -幹部独身寮-

ランキング参加中小説 novels 基地内の幹部独身寮はオンボロだったが、仲間は沢山いて楽しく過ごした。 寮の1階には小松基地で整備幹部をしているアメフト部同期のM2尉が居住していた。 毎週、金曜日になるとM2尉の部屋で宴会が始まった。 独身寮に居住す…

防衛大学校物語 第123 -飛行隊若手パロットの精進-

ランキング参加中小説 novels F-4改機種転換課程を終え、小松基地に戻った私は、飛行隊の最も若手パイロットとしての生活が始まった。 せっかく、F-4改戦闘機の操縦を学んできたのだが、これから数年はF-4改の後席要員として搭乗する。 その間、操縦かんを握…

防衛大学校物語 第122 -さらば宮崎-

ランキング参加中小説 novels 機種転換課程の後半は、F-4改で戦技の基本を学ぶ。 いままで操縦した航空機よりはるかにパワフルで、しかも高性能のレーダーシステムにも慣れなくてはならない。 戦技は2機編隊で行うため、2人ずつペアを組むことになった。 何…

防衛大学校物語 第121 -恩師との再会-

丁度、機種転換課程に入校中に新田原基地で航空祭が開催された。 航空祭には、政治家や防衛産業の人など多くの招待者が訪れる。 私たち課程履修中の若手パイロットは、その招待者の接遇係となった。 招待者名簿の中に、防大時代のアメフト部の監督のKさんの…

防衛大学校物語 第120 -やすらぎ-

ランキング参加中小説 novels 新田原基地の周辺には何もない。 正確には畑などがあるだけである。 しかし、正門前に「やすらぎ」という古びた飲み屋があった。 飲み屋と言っても、焼酎「霧島」を飲みながら地鶏の炭火焼を頬張るだけのような店である。 老夫…

防衛大学校物語 第119 -コックピット占いの結果は?-

ランキング参加中小説 novels 飛行隊に到着して1カ月くらいすると、私はF-4改機種転換課程に入校するためは宮崎県新田原基地に赴いた。 皆、所属は小松、那覇、新田原基地の飛行隊だが、ここでF-4改戦闘機の操縦の基礎を学ぶ。 だから新田原基地の301飛行隊…

防衛大学校物語 第118 -小松支店営業部配属-

ランキング参加中小説 novels 赴任地の小松基地に到着した。 日本海に面した小松基地は、滑走路を小松空港と共有し、行政や経済の中心である金沢市や観光で有名な片山津温泉などがすぐ近くにあった。 航空自衛隊としては、日本海に広大な訓練空域を有するわ…

防衛大学校物語 第117 -卒業、いよいよ部隊へ!-

ランキング参加中小説 novels 戦闘機操縦課程の卒業前に機種と赴任地の発表が行われた。 高校生の頃から戦闘機パイロットになるのを夢見て、早8年の月日が経過していた。 いよいよ戦闘機パイロットになる時が来たのだ。 機種は、最新のF-15、F-4およびF-1の…

防衛大学校物語 第116 -パイロットの参観日-

ランキング参加中小説 novels 普段のパイロット教育の様子を親などに見てもらうため、いわゆる「参観日」が行われた。 私の両親は遠くから自衛隊の輸送機を乗り継いで航空自衛隊松島基地までやってきた。 実際に、フライト前に行われる訓練生と教官のブリー…

防衛大学校物語 第115 -ブチ切れ教官-

ランキング参加中小説 novels どこにもヤバイ教官はいるものである。 松島基地での戦闘機操縦課程にも名物教官がいた。 しかも私たちのコースの副担任だった。 B1尉は、頭皮も薄く、とても30才位とは思えない容姿をしていた。 本人曰く、ブルーインパルスに…

防衛大学校物語 第114 -追悼 M教官-

ランキング参加中小説 novels 教官のM1尉は、まだ若く独身だった。 今度合コンを開催するので参加しないか?とM1尉から私たち学生パイロットに誘いがあり、みんなで参加することになった。 M1尉主催の合コンは、仙台市の繁華街、国分町で開催された。 M1…

防衛大学校物語 第113 -当てた者勝ち-

ランキング参加中小説 novels 搭載する20㎜機関砲を使った空対空射撃訓練がある。 標的曳航機が、幅1.5m、長さ5mくらいの横断幕のような標的を曳航し、これに訓練弾を撃ち込む。 訓練弾には色が付いているので、自分の色が付着していれば命中したことが分か…

防衛大学校物語 第112 -見ざる言わざる聞かず-

ランキング参加中小説 novels 同部屋となったH君はいけ好かない感じだった。 少し壁がある感じで、積極的に友達になりたいとは思わないタイプだった。 そんなH君には、以前から「あっち」ではないかという噂が立っていた。 防大開校祭で各大隊が趣向を凝らし…

防衛大学校物語 第111 -戦闘機操縦課程の履修を命ずる-

ランキング参加中小説 novels 浜松基地の基本操縦課程を卒業して航空自衛隊のパイロットに認定されたといえども、目指す戦闘機パイロットになるまでには、まだまだ道のりは続く。 粉雪が舞う宮城県松島基地に到着した私たちは、ここで戦闘機操縦課程を履修す…

防衛大学校物語 第110 -最初で最後の経験-

ランキング参加中小説 novels 基本操縦課程における最終試験は2回ある。 両方とも事業用操縦士免許取得のための試験を兼ねている。 1回目は、訓練空域での試験。 2回目は、計器飛行の能力を確認するための試験である。 両方とも事業用操縦士免許取得のた…

防衛大学校物語 第109 -小松基地で演習参加-

ランキング参加中小説 novels 毎年、秋に大規模な演習が行われる。 この演習に浜松基地の飛行教育部隊も参加することになった。 そこで、教官と私たち学生がT-4練習機に乗って石川県小松基地に展開した。 私たちT-4練習機は仮想敵機役として基地に向かって侵…

防衛大学校物語 第108 -事業用操縦士免許取得のため-

ランキング参加中小説 novels この課程のクライマックスは、国土交通省が発行する事業用操縦士免許取得のための実技試験である。 ちなみに学科試験は、この前の課程ですでに受験してパスしていた。 この学科試験に2度落ちるとパイロット学生はクビになる。 …

防衛大学校物語 第107 -ブルーインパルスもどき-

ランキング参加中小説 novels 基本操縦課程で搭乗する航空機は曲技飛行を行うブルーインパルスと同じT-4練習機だった。 先輩コースのK候補生がソロフライトの時やらかした。 教官が同乗していないことをいいことに、ずっと訓練空域でブルーインパルスの曲技…

防衛大学校物語 第106 -南基地の同期生-

ランキング参加中小説 novels フライトが開始されてが、相変わらず勉強漬けの毎日が続いていた。 土日も同部屋のY君と一緒に部屋にこもり翌週のフライトの準備に明け暮れ、外出と言えば正門近くのスーパーに昼食の弁当を買いに行くだけの生活だった。 浜松基…

防衛大学校物語 第105 -難しい航法訓練-

ランキング参加中小説 novels 浜松での基本操縦課程は、本当に航空自衛隊のパイロットにふさわしいか「見極め」の課程でもある。 特に学生が苦労するのが、有視界飛行方式による航法訓練である。 浜松基地を飛び立ち、中部日本に横たわる北アルプスと中央ア…

防衛大学校物語 第104 -任侠教官-

ランキング参加中小説 novels 基本操縦課程で印象的な教官にお世話になった。 ある週末の昼間、基地内を歩いていると、真っ白いクラウンが私たちの横で停車した。 運転席の窓が開くと、真っ白い上下のスーツを着て、パンチパーマにサングラスをした見るから…

防衛大学校物語 第103 -同部屋のY君-

ランキング参加中小説 novels パイロット学生の間は、基地の中のパイロット専用の寮に居住する。 部屋は2人部屋で、今回は防大時代から同じクラスだったY君と同部屋になった。 Y君は、穏やかな性格で、地道に努力するタイプである。 防大生の時、週末に自室…

防衛大学校物語 第102 -残りモノの国内養成組-

ランキング参加中小説 novels コースBは、米空軍による飛行教育を受ける米留組と、そのまま国内の養成課程に進む国内組に分かれた。 国内組となった私は、基本操縦課程履修のため「残りの同期」と浜松基地にやってきた。 なぜか国内組は「残り者」という寂し…

防衛大学校物語 第101 -米留するかしないか-

ランキング参加中小説 novels 何とかクビにならず課程も大詰めを迎えていた。 この課程を修了すると、一部は米国で米空軍の飛行教育を受けることになっていた。 コースAが大量にクビになったので、コースAからの米留は見送られ、その分、私たちのコースBか…

防衛大学校物語 第100 -元CAの教官の奥さん-

ランキング参加中小説 novels 私たちコースBの副担任は、防大卒の教官のM1尉だった。 教官で赴任する前、M1尉は、精鋭千歳基地のF-15乗りだった。 実は、私が防大3年の夏季定期訓練において千歳基地で部隊実習を行ったとき、飛行隊の若手パイロットとして…