戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

防衛大学校物語 第217 -3度目のボクシング-

官舎の近くの公民館で、毎週末、ボクシング同好会が活動していることを知った。 そこで、私は、そのボクシング同好会に入会することにした。 ボクシングといえば、米空軍士官学校のボクシング部で初めてグローブをはめて、沖縄勤務時にもアマチュアボクシン…

防衛大学校物語 第216 -新しい趣味のギターに挑戦-

単身赴任生活の週末はヒマである。 夜に飲みに行くぐらいしか楽しみは無い。 そこで、週末にブラッシュアップを兼ねて、英会話スクールに通うことにした。 英語は日常会話くらいなら十分イケるが、得意な英会話ならば無理なく続けることができると思ったから…

防衛大学校物語 第215 先輩の職場復帰②-

先輩の職場復帰が順調に進む中、いい知らせが届いた。 他基地の部隊で先輩の異動を受け入れるというのである。 メンタルダウンした者を受け入れてくれる部署はほとんど無いのが現実である。 先輩の職場復帰を監督していた私にとっても嬉しい申し出であった。…

防衛大学校物語 第214 -先輩の職場復帰-

他の課でメンタルダウンして自宅療養となっていた人がいた。 その人が職場復帰するので私の課で面倒を見ろと部長に伝えられた。 そのM3佐は私が防大1年の時の4年生でアメフト部の先輩だった。 長い間、戦闘機パイロットとして活躍していたが、四十代半ばを…

防衛大学校物語 第213 -現代若手パイロットの気質-

戦闘機操縦課程をクビになった学生パイロットが送り返されてきた。 パイロット以外の職種が決まるまで航空教育集団司令部で過ごすことになる。 しかし、そのK3尉は少し様子が変だった。 いつも寡黙で、ずっと一点を見つめるようだった。 話しかけても、必要…

防衛大学校物語 第212 -不憫な「待機操縦者」-

通常ならば浜松基地の基本操縦課程を卒業すると機種ごとに分かれて戦闘機操縦課程に進むのだが、東日本大震災の津波により松島基地のF-2戦闘機が喪失したことが原因で養成能力が一時的に減少し、飛行教育が滞る事態が発生していた。 あぶれてしまったパイロ…

防衛大学校物語 第211 -いざ、浜松へ!-

約1年半の在日米空軍司令部での勤務を終え、浜松基地にある航空教育集団司令部の教育第2課長へ異動となった。 航空自衛隊に入隊依頼、若い時は戦闘機パイロットとして毎日空を駆け巡っていたが、指揮幕僚課程卒業後は、航空機やパイロットとは無縁のポジシ…

防衛大学校物語 第210 -情報屋としての活動-

当時、東シナ海にある日本の領土に関して周辺国と揉め始めた頃だった。 日本政府としては、その領土を巡って両国が衝突した場合は、当然、米国が日本と一緒に行動してくれるものと期待していた。 しかし、時の米国大統領は慎重姿勢を崩さず、その領土が日米…

防衛大学校物語 第209 -情報屋としての活躍-

横田基地の米空軍司令部での勤務は、上司がいる訳でもないので、かなりイージーなものだった。 自宅からは電車を乗り継いで2時間15分かかるので、毎朝9時半くらいにオフィスに到着する。 米軍内のケーブルテレビで放送されているNFLの試合経過を気にしながら…

防衛大学校物語 第208 -在日米空軍司部勤務-

危篤の父に会うための帰省から沖縄に戻った私は、その1か月後、横田にある在日米空軍司令部の連絡官に異動となった。 異動して数日しかたたないうちに、実家の母親から父親の逝去の連絡があった。 葬儀のため私は再び実家に戻った。 高校卒業後、自衛隊員と…

防衛大学校物語 第207 -父との別れ-

入院中の父親が危篤であると実家の母親から連絡があった。 翌日には、飛行機で沖縄から故郷まで飛んだ。 医大病院に入院していた父親は末期のがん患者だった。 意識もハッキリせずほとんど寝ていて、親戚が見舞いに来ても、自分の兄妹さえ識別ができない状態…

防衛大学校物語 第206 -政治家との出会い②-

政治家を志すKさんに興味を抱いた私は、婦人部の基地見学が終わったあと、早速、一行を率いていたKさんに連絡を試みた。 名刺を交換したわけではなかったので、Kさんの政治活動のホームページに「今度、個人的にお会いできないか」とDMを送りつけたのだった…

防衛大学校物語 第205 -沖縄の政治家との出会い-

ある日、沖縄防衛協会の婦人部が那覇基地見学に訪れた。 その一団を率いてきたのが自民党沖縄県連の若い政治家Kさんだった。 Kさんは私より少しだけ若く、国政を目指しているものの、なかなかその夢を果たせない「浪人中」の政治家だった。 彼の祖父は、戦後…

防衛大学校物語 第204 -魚釣島の思い出-

北方領土上陸に失敗したコーチは、次に日本固有の領土であるにもかかわらず自由に行き来が出来ない尖閣諸島の状況を自分と同じ「はぐれ者」と映ったのだった。 このため尖閣諸島上陸を目指し、石垣島に移住して手漕ぎボートの訓練を重ねるとともに、独学で天…

防衛大学校物語 第203 -丹下段平の生涯-

ある日、丹下段平似のボクシングコーチに呼ばれて近くに行くと、一冊の古びた本を渡された。 「読んでみて」と。 その本には、その「丹下段平」コーチの半生が書かれていたのだ。 その半生がまるで小説のようで、とても興味深い。 コーチは、札幌出身だが、…

防衛大学校物語 第202 -丹下段平-

鈍った体を鍛え直すため、ボクシングジムでも通いたいと思っていた。 ジョギング中に普段通らない道を進むと、怪しげな建物の横にでた。 そしてその窓に、「ボクシング練習生募集中」の貼り紙を発見した。 これは何かの縁かと思い、週末にその建物の前で待つ…

防衛大学校物語 第201 -陸と空のケンカ-

北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射事案の対応のため、本土から沖縄県に弾道ミサイル対処部隊が派遣されてきた。 在沖縄の部隊を管轄する司令部としては、派遣されてくる部隊のために各種支援を行う責任があった。 私は課長として、連日、沖縄県…

防衛大学校物語 第200 -ディープな沖縄-

幹部候補生学校を卒業した後、約2カ月間、那覇基地で隊付教育を受けたが、その当時の基地周辺はお世辞にも発展しているとは言えなかった。 古い家が立ち並ぶ中を、歩いて近くのスーパーまでよく弁当を買いに行ったものだ。 しかし、それから20年の年月が経過…