戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

防衛大学校物語 第231 -物流倉庫送りの刑-

部長から成田空港から更にバスで数十分のところにある物流倉庫に行って、小さなワッシャーを袋詰めする作業を言い渡された。 小指の爪位のワッシャーを500個つづビニールの袋に一日中入れる作業である。 作業指示は例の同僚社員からメールで送られてくる。 …

防衛大学校物語 第230 -転職先での辛い経験-

今思うと完全にミスマッチだったと思う。 会社にとっては、元幹部自衛官はこんなに仕事が出来ないのか?と思っただろうし、私にとっては、新入社員をきちんと育成する余裕が全くな会社だった。 顧客から発注のファックスを受け取って、システム端末から発注…

防衛大学校物語 第229 -元自衛官はつらいよ-

真新しいスーツに新しいビジネスバッグを片手に日比谷公園に面した高層ビルにあるオフィスに出勤した。 心機一転、新しい人生の第一歩のはずだった。 社員が働くオフィスに入るのは初めてだが、案外質素でこぢんまりしていた。 特殊なアルミ製品の会社営業マ…

防衛大学校物語 第228 -自衛隊退職-

妻や年老いた母親と姉に、転職したい旨、話すと、皆、同じ反応だった。 あなたの人生なんだからあなたの好きなようにしなさい、と。 転職を反対されたとしても、私の意思は固かったに違いない。 このまま自衛官として定年まで勤めたとしても死ぬ間際に、こん…

防衛大学校物語 第227 -転職エージェントからの誘い-

私が幹部学校に異動してから今後の身の振り方について迷っている矢先、久々に登録した転職サイトの転職エージェントから私に直接連絡がきた。 防衛大卒だろうが、戦闘機パイロットだろうが、年齢のいった自衛官に転職エージェントからお声がかかることは珍し…

防衛大学校物語 第227 -大学院か?転職か?-

3年間の単身赴任を終え、私は自宅から幹部学校の航空研究センターに通った。 幹部自衛官を対象とした部内紙の歴史は古く、さまざまな情報を入手することが困難な時代に、指揮、戦略、部隊運用および兵器技術に関する情報を論文と言う形で読者の幹部自衛官に…

防衛大学校物語 第226 -失意の異動-

通常であれば2年勤務だが、パイロットの割愛候補者になってきたので航空教育集団司令部での勤務も3年目となつていた。 しかも、1佐職の課長だったため空幕から割愛には出さないと言われてしまった。 上司の部長からは、幹部学校で部内誌編集長のポストを探し…

防衛大学校物語 第225 -待機操縦者の救出作戦-

今度はある待機操縦者をフライトに復帰させるための行動を起こすことになった。 O3尉は、待機期間中に球技の事故で、片目の眼底骨折をしてしまい、視野が欠けてしまったのだ。 もう2年以上、療養していたが、後輩にどんどん先に越されてしまうため、私たち…

防衛大学校物語 第224 -若いパイロットたち-

ある飛行教育部隊だけがパイロット学生の罷免率か異常に高かった。 比較的、成績良好の学生を送り込んでいるのにである。 色々調べてみると、そこの教官三人衆がとにかく厳しいというのだ。 三人衆の一人は私に向かって「ダメな奴はバンバン、クビにしますか…

防衛大学校物語 第223 -女性戦闘機パイロット養成開始-

割愛で民間パイロットになるチャンスをもらえなかった私は、朝、車を運転しながらある決心をした。 戦闘機パイロットになりたいと希望している彼女にチャンスをあげようと。 オフィスに到着するなり、私はパソコンに向き合い、空幕に提出する彼女の戦闘機パ…

防衛大学校物語 第222 -パイロットの民間割愛制度-

半年前に私は大きな決断をしていた。 自衛隊パイロットの民間割愛制度に手を挙げたのだ。 昔から民間機のパイロットを熱望していた訳ではなかったが、割愛は転職先の良い選択肢だった。 しかし、割愛の候補者になると、その年の勤務評価は最下位にランクされ…

防衛大学校物語 第221 -女性戦闘機パイロットの選考-

それは男女機会均等法施行に基づく政府肝入りの案件だった。 航空自衛隊初の女性戦闘機パイロットを養成するというのである。 数名の候補者に対して空幕において意思確認が行われていた。 これまで輸送機や救難機の女性パイロットはいたが、戦闘機パイロット…

防衛大学校物語 第220 -パイロットの民間割愛制度-

大阪にある転職エージェントと電話でインタービューを行った。 航空自衛隊のパイロットなので航空関係への転職を勧める、ついては大阪にある新興の格安航空会社が地上職を募集しているのでどうか?と勧められた。 一般にLCCの処遇は低く、希望する処遇との開…

防衛大学校物語 第219 -転職エージェントの魔力-

唐突のようだが、自衛隊を辞めて転職をしたいと思うようになっていた。 防衛大学校に進学したのには2つの目的があった。 1つは、戦闘機パイロットになることである。 これは実現した。 もう1つは、大勢の隊員を率いる指揮官になることだった。 早い話が、…

防衛大学校物語 第218 -課内バンドの功罪-

ギターを習いに行って1年以上がたち、その腕前もだいぶ上達すると、人前で披露したくなるのは性というものである。 課員と雑談していると、楽器を演奏できる者もいるらしいことを知った。 そこで、課内でバンドを組んで、部の忘年会で演奏を行うことにした。…