戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

防衛大学校物語 第152 -3つの航空事故の記憶③その2-

ランキング参加中小説 novels 演習最終日、無事すべての訓練は終了した。 これから、夜に戦闘機10機を含む私たち移動訓練隊は三沢基地に帰らなければならなかった。 しかも、私たちと入れ替えに演習期間中、千歳基地から三沢基地に展開していたF-15飛行隊と…

防衛大学校物語 第151 -3つの航空事故の記憶③その1-

ランキング参加中小説 novels S2尉は航空学生出身で私より2歳年下だったが、友人のような存在だった。 三沢基地ではS君の美人の奥さんを交え家族ぐるみで付き合いがあった。 ある日、S君が浮かない顔をしていたので「どうしたの?」と聞くと、どうやら奥さ…

防衛大学校物語 第150 -3つの航空事故の記憶②-

ランキング参加中小説 novels 隣の飛行隊で発生した航空事故からまだ2カ月しか経っていなかったが、2つ目の航空事故が私の目の前で発生した。 また私はマーボ幹部として滑走路脇にある小屋で勤務していた。 目の前に米軍の戦闘機がラインナップして、一機づ…

防衛大学校物語 第149 -3つの航空事故の記憶①-

ランキング参加中小説 novels 今夜の夜間訓練で私はモーボ幹部だった。 モーボ幹部とは、滑走路近くの小屋で着陸する航空機の状態を監視する係である。 私と隣の飛行隊のT3尉がモーボ幹部として勤務中だった。 突然、無線機のスピーカーから隣の飛行隊の編…

防衛大学校物語 第148 -スクランブル発進の苦い思い出-

ランキング参加中小説 novels 飛行隊時代の2つの苦い経験のもう一つは、スクランブル発進時に起きた。 彼我不明機が日本の領空に近づくと、全国の飛行隊で24時間待機についている戦闘機が緊急発進して状況を確認する。 ある意味、「空の警察行動」であり、…

防衛大学校物語 第147 -ゴルフに夢中で怒られる-

ランキング参加中小説 novels 小松基地時代からゴルフをはじめ、三沢基地でも米軍コースでプレーしたり、毎週末には打ちっぱなし場に通い、根を詰めて練習をしていた。 根っからの闘争心旺盛な性格だったことから、コンペの前の夜はワクワクして寝付けない程…

防衛大学校物語 第146 -福岡空港着陸までの珍道中-

ランキング参加中小説 novels 戦闘機パイロット時代に「やらかした」事件が2つだけある。 そのどちらも後で叱責を受けたり、処罰されたりせず、闇に葬られている。 しかし、今でも思い出すたび冷や汗が出てくる。 そのうちの1つが福岡空港事件である。 要…

防衛大学校物語 第145 -はじめてのお使い-

ランキング参加中小説 novels 飛行隊に配属されて3年経つが、F-4の前席転換訓練はまだ始まらない。 操縦の感覚を忘れないように若手は練習機の前席で時々飛行訓練を行う。 その際、ある登竜門となる訓練がある。 それは、入間基地にいる要人の送迎のため、三…

防衛大学校物語 第144 -新婚家庭への襲撃-

ハワイでの海外挙式を無事終え、通常どおり飛行隊での業務に復帰した。 飛行隊には新婚家庭を襲撃する変わった風習があった。 飛行隊ナンバー2の飛行班長M3佐が若い頃、陸の孤島と呼ばれる茨木県百里基地で勤務した頃からの伝統だった。 ランキング参加中小…

防衛大学校物語 第143 -自分の結婚式に行けないかも-

ランキング参加中小説 novels 大勢の来客を招待して行う結婚式がどうしてもイヤだった。 たいして優秀でもないのに上司が「○○君は職場で大変優秀で...」と盛って紹介され、本当を知っている仲間から失笑されるのがたまらなくイヤだった。 という訳で私たちは…

防衛大学校物語 第142 -結婚させて下さい-

ランキング参加中小説 novels 千葉のMちゃんの自宅にはよく泊まっていた。 Mちゃんのお母さんがいつ結婚するのか?と気にしているという。 私の中では、三沢基地に移動した夏に結婚するつもりだった。 いつものようにMちゃんが運転する軽自動車でMちゃんの自…

防衛大学校物語 第141 -お笑い米軍基地-

ランキング参加中小説 novels 飛行隊の小時松基地から三沢基地への移転は、飛行隊のパイロットと整備士など200名近い隊員の大規模な移動であった。 引っ越しは、お任せパックではなく、隊員による手作業だった。 本当は各家庭、「お任せパック」での引っ越し…

防衛大学校物語 第140 -飛行隊ごと引っ越し-

ランキング参加中小説 novels 飛行隊ごと青森県三沢基地に引っ越しになることは一年ほど前から決まっていた。 このため私のような後席操縦者の前席転換訓練はパタリと止まってしまった。 新田原基地で同期のT君が前席転換訓練でアンコントロールに陥り、緊急…

防衛大学校物語 第139 -航空祭の美女-

ランキング参加中小説 novels 毎年秋に小松基地で航空祭が行われる。 以前から付き合いを続けていた千葉のMちやんを小松基地航空祭に誘った。 出会って最初から遠距離で、付き合い始めて、もう4年もたつ。 もちろん私のアパートに宿泊する。 航空祭当日、私…

防衛大学校物語 第138 -さよなら硫黄島-

ランキング参加中小説 novels 硫黄島での休日の楽しみ方は独特である。 日中は、硫黄島とうがらしを採集したり島一周のジョギングがポピュラーである。 運動した後は日本軍が掘った洞窟を利用した「洞窟サウナ」で汗を流す。 入り口付近だけだが、まさにサウ…

防衛大学校物語 第137 -空に流れる銀の川-

ランキング参加中小説 novels 無人標的機に改造されたUF-104に対するミサ射撃訓練は、あまり順調とは言えなかった。 とにかくUF-104を運用するための飛行制限が多かった。 横風10ノットを超えるとその日のミッションは中止となった。 また、離陸できたとして…

防衛大学校物語 第136 -硫黄島の女王様-

ランキング参加中小説 novels 移動訓練隊は全国からさまざまな職種の隊員が参加し、100名以上の大所帯となった。今回、初めて女性隊員1名を同行させた。その女性隊員は一応独身で、性格はものすごく良いのだが、容姿は普通なら「猫もまたいで渡る」ような残…

防衛大学校物語 第135 -激戦地としての硫黄島-

ランキング参加中小説 novels 硫黄島訓練では米軍艦載機訓練用に建設された米軍人用の宿舎に寝泊りする。 各部屋の入口ドアの前に紙コップに水を一杯に入れて置いておく習慣がある。 それは、太平洋戦争の末期、日米が戦い、大勢の軍人が命を落とした硫黄島…

防衛大学校物語 第134 -硫黄島でのミサイル訓練-

ランキング参加中小説 novels 全国の飛行隊が実力を競う「戦技競技会」というものがある。 さながら飛行隊対抗の運動会のようなものである。 このメンバーには飛行隊のエース級パイロット が選抜される。 私も候補者の一人であったが、いつも失敗ばかりして…

防衛大学校物語 第133 -僕たちと合コンしませんか?-

ランキング参加中小説 novels 社会人アメフトチームの女子マネで地元金沢の地域誌の編集の仕事をしている人がいた。 今度、「合コンしませんか」特集をやるので掲載しないかと持ち掛けられた。 早速、グループ写真を撮影するのでメンバー集めをする必要があ…

防衛大学校物語 第132 -小松F-15ミサイル誤射事故-

ランキング参加中小説 novels とんでもない事故が起こった。 隣の飛行隊でアラート待機中の訓練でF-15戦闘機が僚機のF-15を搭載していた実弾で撃ち落としてしまったのだ。 撃ち落としたパイロットは防大2学年先輩のHさんだった。 Hさんは、温厚で後輩からも…

防衛大学校物語 第131 -再びアメフトをする-

ランキング参加中小説 novels きっかけは、基地のラグビー部に参加したことだった。 チームメイトの中に金沢市でアメフトのクラブチームに入っている者がいた。 私が防大のアメフト部だったことを知ると、一緒にアメフトをやらないかと誘われた。 大学アメフ…

防衛大学校物語 第130 -ひよこ会に参戦-

ランキング参加中小説 novels 小松基地時代にさまざまな新たな趣味にチャレンジした。 車で1時間くらいで自然豊かな沢に入ることができる。 そこで渓流釣りを覚えた。 ブドウ虫やイクラを餌にして、大きなイワナやヤマメを釣ることができた。 魚がヒットし…