戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第246 -大手航空会社の面接-

1次面接は、羽田空港ターミナルに隣接した会社のオフィスで行われた。
若い人事担当者と待ち合わせした私は、オフィスの入り組んだ奥にある面接が行われる小さな会議室に案内された。

そこに、同年代と思われる4名の男性がいた。

面接のインタビューを行うに先立って、課題として求めれれていたプレゼンテーションを行うことになった。

晩年幹部自衛官を対象とした部内誌に投稿し、好評だった旧軍の軍人のリーダーシップに関する記事を要約してプレゼンすることにした。

もう二度と自衛隊に関する事に触れないつもりで自衛隊を飛び出したのに、ここで再び自衛隊時代の記事を掘り起こして人前でプレゼンをすることが不思議だと思った。

兎にも角にも、長い間、教育畑で勤務してきた私にとって、人前で話をすることは私の真骨頂というべきものだった。

そして、大好きな尊敬する軍人のことを人に話ができるので、嬉しくてたまらなかった。

これまで、自分はパイロットなのに何で教育関係のポジションばかりなのだろう?と華々しく戦闘機の運用部署で勤務する同期たちを羨んだこともあった。

しかし、今、教育畑で勤務してきた私のキャリアが存分に生かされる時がきたと感じた。

私のプレゼンを聞く、面接官たちはどんどん私の話に引き込まれているようだった。

その後、引き続く面接においても、面接官のポジティブな感触を感じた。

「うん、うん。分かる、分かる。」というような理解と期待感みたいなものが。

数週間後、1次面接合格の連絡を受けた。

次は最終役員面接だった。

私は、再び神社に行き、軍神たちに合格をお願いした。