戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第245 -やっぱり空の仕事がしたい-

来年度の開園準備に関する業務について、要領を得ない私の態度に対し、バツイチ・子持ちで若い頃はバドガールだったという同僚に「50歳にもなってそんなこともできないのかぁ!」とののしられた。

もう限界だった。

許されるならもう一度空の仕事に戻りたいと、思うようになった。

片っ端から航空関係の募集に応募してみることにした。

その中には数か月前に知り合いの自衛官が教えてくれた赤い翼の大手航空会社の募集もあった。その時は、「絶対無理だ」と、応募をためらったが、今回はダメもとで応募してみることにした。

応募してから数週間後、赤い翼の航空会社の人事担当者から面接の調整のための連絡が来た。

赤い翼のパイロットに対する地上座学教育の教官のポストであり、面接では教官としての適性を評価するため模擬座学を実施するので自作のスライドを送付する必要があった。

私は、以前、部内誌に投稿した旧軍のパイロットで、のちに航空自衛隊で活躍されたある軍人の生涯についての記事を使うことにした。

私が今でも尊敬してやまない軍人だった。

このような人になりたいと。

航空自衛隊を辞めた時に、もう二度と軍事や自衛隊関係について触れることが無いと思っていたので、再びその軍人について人前で語ることに不思議な縁を感じた。

保育園の運営会社のそばに戦没軍人を祀る神社があったので、私はよく昼休みになると歩いて神社に参拝に行った。

現役自衛官時代は、そういうことにあまり関心がなかった。

しかし、自衛隊を辞めてみて、自分のアイデンティティはやはり防衛大卒の幹部自衛官であることを悟った。

これは死ぬまで変わらないのであろうと。

「どうか採用されますように」

私は軍神たちにおねだりをした。