戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

防衛大学校物語 第199 -三線司令官-

那覇基地の司令部で課長としての勤務をスタートした。 部下は9名。 赴任するや否や最初の業務は、東日本大震災の災害派遣のため那覇基地から航空自衛隊の隊員を送り出す業務だった。 また、司令官からの特命で、那覇基地が津波被害に遭遇した場合、どのよう…

防衛大学校物語 第198 -東日本大震災を知らず-

1年間の幹部高級課程が修了すると全員、1佐職のポジションへ異動となる。 私は、那覇基地にある司令部の課長に配属となった。 転勤直前の3月に私は一人で実家に帰省していた。 そして帰りの飛行機に乗っている時に東日本大震災は起こった。 だから、私は日…

防衛大学校物語 第197 -日本のサムライ現る!-

韓国研修から帰国してしばらくすると、今度は韓国国防大学で学ぶ同年代の将校たちが来日した。 そしてその一行を私たち高級幹部課程の学生が祝宴を開いてもてなすことになった。 市ヶ谷の防衛省近くのホテルで開かれたその立食パーティーで、なぜか私のテン…

防衛大学校物語 第196 -犬食の想い出-

幹部高級課程は下半期から陸海空合同課程となる。 そしてその統合幹部高級課程には海外研修があった。 通常は3カ国くらいに分散するのだが、今年は全員韓国研修であった。 韓国合同参謀本部や韓国軍部隊、そして在韓米軍司令部などを見学した。 幹部高級課程…

防衛大学校物語 第195 -幹部高級課程入校-

指揮幕僚課程学生の担任の先生は一年で終了した。 そして、幹部学校所属のまま幹部高級課程の学生となり、一年間、目黒で勉強することになった。 最上級生は防大の4つ先輩で、私ともう一人の同期は最下級生となった。 最下級生は先輩たちに従い雑用的な業務…

防衛大学校物語 第194 -指揮幕僚課程の成績-

指揮幕僚課程には毎年50人の学生がいる。 成績をつけ、卒業時には1番から50番まで順番を決めて、航空幕僚監部補任課に報告しなければならない。 上位になると昇任にプラスになり、下位になるとマイナスとなり、指揮幕僚課程に行かなかった方が良かった、なん…

防衛大学校物語 第193 -板門店見学の想い出-

指揮幕僚課程学生たちの担任の先生となった。 自分が学生の時は無かったが、今は指揮幕僚課程に海外研修というものがある。 今年は、韓国研修だった。 とはいっても観光地を回る訳ではない。 韓国空軍や合同参謀本部などの部隊見学と韓国空軍との交流などが…

防衛大学校物語 第192 -防衛駐在官の夢-

幹部学校に着任してしばらくした後、思いがけない所から声がかかった。 案件は、私が数年後の防衛駐在官候補者として名前が上がっていて、空幕補任課が面接試験を行うという案内だった。 正直、嬉しかった。 米空軍士官学校勤務で将来は防衛駐在官としてもう…

防衛大学校物語 第191 -目黒川沿いの日米共同訓練-

九州の司令部で勤務も2年となり、私は目黒にある幹部学校に異動となった。 自分自身も米国勤務の前は指揮幕僚課程学生として1年間、勉強に励んだが、今度は、その指揮幕僚課程学生の担任の先生のようなポジションである。 オフィスには、米空軍からの交換…

防衛大学校物語 第190 -西部航空方面隊50年誌-

もしカ病気にならずタールに派遣されていたらもう少し違う道を歩んでいたのだろうか?と思うことがある。 私の前任と私の交代要員として派遣された同期生は、その後、外務省に出向し、防衛駐在官として海外の総領事館で勤務することになった。 腰痛の件を含…

防衛大学校物語 第189 -イラク支援に行かれず-

司令部勤務2年目の出来事だった。 イラク支援任務として、カタールにある米軍基地で半年間勤務する任務が回ってきた。 このための事前集合教育が東京で開催されることになり、九州から単身上京した。 しかし、数日前の夜に突然、胃の辺りが痛み出したのだ。…

防衛大学校物語 第188 -検閲補佐官の想い出-

九州隷下の全部隊に対する検閲が行われた。 私は司令官を補佐する検閲補佐官の長として、対馬の先端にある海栗島分屯基地に向かった。 海栗島分屯基地は「二重離島」であり、対馬の先端から船で基地のある島に渡った。 警戒隊のスタッフが戦々恐々として、我…

防衛大学校物語 第187 -携帯通話履歴を提出せよ!-

ある新聞に妙な記事が掲載された。 ある大国が国内で弾道ミサイルの発射試験を行ったというものだった。 しかし、その内容に見覚えがあった。 数日前、秘匿情報として司令部の情報幕僚が司令官に対して行った情報ブリーフィングの内容と同じだった。 この事…

防衛大学校物語 第186 -宇宙飛行士選抜試験-

JAXAが宇宙飛行士を募集する。 普通ならば倍率1000倍の狭き門である。 しかし、航空幕僚監部からこの選抜試験に積極的に応募するようにとのお達しがあった。 このことから私は、今回の募集でJAXAは航空自衛隊のパイロットから宇宙飛行士を採用しようとしてい…

防衛大学校物語 第185 -司令官との年始フライトの想い出-

見島レーダーサイト上空での司令官のむちゃぶりに応えることができなかった私は次の対馬にある海栗島レーダーサイトに向かう15分間くらいの間、後席でひたすら英作文を行っていた。 必ず海栗島サイト上空でも司令官に代わって英語で新年あいさつを行うよう命…

防衛大学校物語 第184 -面白い司令官-

司令官は戦闘機乗りで、とてもクセが強いと評判だった。 ある日、報告のために司令官室に入ると、司令官は読売ジャイアンツのユニフォームの上着を着て椅子の上にM次開脚で座っていた。 イジらずにはいられまい。 「司令官、そのユニフォームはどうしたので…

防衛大学校物語 第183 -都落ち、再起をかけて-

航空幕僚監部での勤務も2年が経過した。 腰が悪く、満足に仕事をする事が出来ず、この2年間、市ヶ谷でひっそりと隠れて過ごしていたようなものだった。 通常は、航空幕僚監部での勤務を終えると、飛行隊長など輝かしいポストにつくのだったが、ろくに活躍で…

防衛大学校物語 第182 -経費は米軍と折半-

なぜ在日米軍の訓練移転にかかる経費を日本政府が全額払うことに空自は反対するのか? 結局、その経費は防衛予算の中から捻出されるため、その分、空自の予算が減らされる事が明白だったからである。 担当レベルの口約束と言っても一度日米間で合意したもの…

防衛大学校物語 第181 -在日米軍再編に係る訓練移転-

コロラドから帰国して2年が経過した。 腰の状態はあまり良くはなっていなかったが、毎日出勤はしていた。 空幕で指揮幕僚課程を卒業した同期たちが命を削りながら泊まり込みで仕事をしているのを横で見ながら、私は軽易な業務をお手伝いしているような状況…