2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
本来は編隊長錬成訓練が始まる前には編隊長としての知識技能はある程度、備わっているのがベストだった。 しかし、長い間、後席で看取り稽古ができたにもかかわらず、いざ自分でやってみると編隊長になれるかどうか全く自信が無かった。 そしてついに最終チ…
テキサスでの訓練を終了して3カ月ぶりに飛行隊に復帰した。 指揮幕僚課程の選抜試験に合格したため、4か月後には飛行隊を離れ、4月から幹部学校に入学することになる。 それまでにパイロットしての最終関門である編隊長練成訓練が待っていた。 2機で作戦…
身重の妻を日本に残して私はこの海外訓練に参加していた。 そしてついに長男誕生の知らせが届いた。 メールで生まれた直後の長男の写真が送られてきた。 特に感動とか父親の自覚などという実感は無かった。 テレビなどでよく見る赤ちゃんだった。 妻が出産ま…
企画チームに所属していた私には、部下的なポジションの空士長の若い女性自衛官がいた。 そのコは、顔は中くらいだか、結構なオヤジキラーで有名だった。 彼女と話をしても半歩近い感じがして、始めてあった時はドキッとさせられた。 少し前から彼女の好意を…
パイロットにとって高官接遇の仕事は決して楽しいものではなかった。 しかし、その分、楽しいことも沢山経験することができた。 一緒に接遇業務をしている防衛大の後輩パイロットと休暇中にマイアミに旅行に出かけた。 マイアミは治安が良くないという情報を…
業務はミサイル射撃訓練を視察に来た空幕や航空方面隊司令部などお偉いさんの接遇係だった。 陸軍基地内に宿泊するお偉いさんを朝早くに車で迎えに行き、1時間くらい離れたニューメキシコ州にある砂漠地帯の演習場にお連れする。 日中は日本から来た高射部隊…
当時パイロットが参加できる唯一の米国での訓練は高射隊のペトリオットミサイル射撃訓練だった。 毎年米国テキサス州の陸軍施設で空自の高射部隊がミサイルの実弾射撃訓練を行っていた。 この訓練の要員として全国の飛行隊からパイロット2名の募集があり、私…
階級が1等空尉になると、将来の部隊長などの登竜門である指揮幕僚課程の受験が始まる。 正直なところ、この試験をパスしなければ出世は望めない。 防衛大出身者は誰もがこの試験の合格を目指すと言っても過言ではない。 受験資格は、概ね30代前半に合計4回の…
三沢から沖縄まで戦闘機2機で往復するミッションがあった。 目的は何だったか今ではもう覚えていない。 隊長が以前那覇基地勤務だったことから隊長が無理矢理沖縄に用事を作ったのではないか?と囁かれていた。 兎にも角にも、隊長と私たち若手3名で三沢を離…
ランキング参加中小説 novels 懸命の捜索によって航空機の破片などが回収された。 格納庫に置かれたその残骸を見た時、あんな大きかった戦闘機がシュレッダーに入れたのではないかと思えるほど細かく切り刻まれ、破断面は鋭利な刃物のようだった。 ところど…
ランキング参加中小説 novels 「1機がまだ帰ってきていない」 「すぐにモーボに行ってくれ!」と隊長は私に指示した。 大変なことが起きたかもしれないと思った。 その機に誰が搭乗していたのか知りたかった。 直ぐに、昨晩、千歳で一緒にジンギスカンを食…
ランキング参加中小説 novels 三沢帰投のフライトの後席は、フライトコース時代からの友人であった2尉だった(昨日一緒にジンギスカン屋に行ったS2尉とは別の者)。 普通、パイロットはどんなにビビっていても後席に同期相当の者が座る時に弱音を吐くことは…