ランキング参加中小説 novels ３月末、まだ雪の残るふるさとに別れを告げ、飛行機で羽田空港に向かった。 明日が防衛大着校日なので、今日は防衛大近くにある国家公務員保養施設の走水荘まで向かう予定になっていた。 羽田空港からはバスでまず横浜駅に向か…

ランキング参加中小説 novels 次第に防衛大着校日が近づいてきた。 これから刑務所のような生活が待っているのだと思うと、今のうちに青春を謳歌しておかなくては、と強く思うようになっていた。 そうなると男子は単純なもので、中学時代のクラスメートの女…

ランキング参加中小説 novels 3月に国立大学２校の２次試験受験のため、地元から特急列車で１時間半の大きな街に向かった。 １校目は、真面目に受験したが、２校目の有名国立大学の２次試験は、受験会場すら行かなかった。 どうせ受からないだろうと思ってい…

ランキング参加中小説 novels 1月に入ると共通一次試験が待っていた。 この時点で、防衛大入試の合否は出ていないので、全力で取り組む必要があった。 しかし、共通一次試験の結果はあまり良くなかった。もう、心はすっかり防衛大が第一志望に変わっていたの…

ランキング参加中小説 novels 防大１次試験は地元の陸上自衛隊の駐屯地で行われた。 共通一次試験レベルだろうか、オーソドックスな問題だった記憶がある。 １次試験を無事突破した。 次の２次試験は、より大きな街の陸上自衛隊駐屯地で行われた。 当時、同…

ランキング参加中小説 novels 高校三年の夏の終わり、まず航空自衛隊 航空学生の試験が始まった。 １次試験の学科、２次試験の身体検査など順調にクリアし、実機で行う第３次の操縦適性検査に進むことになった。 地元から特急列車で２時間ほどの距離にある航…

ランキング参加中小説 novels 高校三年の夏、２者面談時に母が担任に息子が防衛大を受験すると伝えると、担任は、「本当に行くの？」と怪訝そうな顔で言ったそうだ。 担任は、私が１年の時に退部した野球部の監督だった。 私のような、おっとりした性格の者…

ランキング参加中小説 novels 防衛大受験をクラスメートの一人に告白した日のことを覚えている。 T君は、数学が得意で、数学の点数が伸び悩んでいた私に対し、よく放課後の図書館で「家庭教師役」を買って出てくれた。 学校からの帰り道、春風が吹く河原の土…

ランキング参加中小説 novels 高校２年になると、防衛大には絶対行きたくない、と思うようになっていた。 オートバイが好きになり、原付の免許を取って中古の50㏄のバイクを買った。購入資金は、夏休みだけのスーパーのバイトで賄った。 尾崎豊を聞きながら…

ランキング参加中小説 novels 防衛大への進学を薦めたのは父だった。 市内に陸上自衛隊の大きな駐屯地があり、近所には自衛官がたくさん住んでいた。 自衛隊は子供のころから身近な存在だった。 しかし、自衛隊に対する社会の見方は今と異なっていた。 高卒…

ランキング参加中小説 novels ギャンブルとは無縁な性分であるが、自分の人生を競馬のレースに例えると、もう最終の第4コーナーを回り切ったというところだろうか？ とんでもない奇跡が起こらない限り、すでに勝負はついているのかもしれない。 それでも、少…