戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第70 -やぶれかぶれ-

GWが終わり幹部候補生学校に戻ってきた。

失恋して気持ちが落ち込んだままだった。

すぐに拳銃射撃訓練が計画されていた。

衝動的に変なことをするのではないかと、ちょっと怖くなった。

女を忘れるには新しい女を作るのが一番の特効薬である。

関西は関東と違い、誰でも友達のように気軽に話しかけてもいい寛容さがあった。

それから同級生とつるんでナンパばかりしていた。

居酒屋に行って、テーブルが3つ並んでいれば必ず真ん中に陣取った。

どちらかのテーブルに女性客が来れば声を掛けるチャンスが増すからだ。

麻雀でいう「両面待ち」状態である。

近鉄奈良駅近くのメイン通りで通行人に声をかけるのも躊躇無かった。

ストリートナンパというやつである。

エセ関西弁で声をかけまくった。

さすがに難波の「ナンパ橋」で声をかける自信は無かったが…。

これがキッカケで奈良女子大のコらと2次会でカラオケに行って楽しんだこともあった。

夜の奈良公園に潜入しては、ベンチでイチャつくカップルの近くまで同期とほふく全身で接近してからかった。

明るいところに出ると、全身鹿のフンだらけになっていた。

兎にも角にも、失恋の反動で何も怖くない無双状態だった。

やぶれかぶれでハイな気分だった。