戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第231 -物流倉庫送りの刑-

成田空港から更にバスで数十分のところにある物流倉庫に行って、小さなワッシャーを袋詰めする作業を部長から言い渡された。

小指の爪位のワッシャーを500個ずつビニールの袋に一日中入れる作業である。

作業指示は例の同僚女性社員からメールで送られてくる。

ワッシャーを1個でも入れ間違うと許さないという内容だった。

根が真面目なので朝から夕方まで間違わないようにワッシャーを何度も数え直しては袋詰めした。

窓の外を見ると成田空港を離発着する旅客機が見えた。

先日、割愛で民間航空に就職した自衛隊パイロットの同期は今頃飛んでいるのだろうか?

それに比べ、今の自分は田舎の物流倉庫で1人でワッシャーの袋詰め作業である。

自分の運命を呪った。

作業が終わるとまたバスと電車を乗り継いで3時間かけて自宅に帰る。

それを毎日行った。

ある日、粗相をした私に対して、女性社員から大きな赤字で「警告」と書かれた指導のメールが送られてきた。

心がポキッと折れた。

私は部長に「会社を辞める」と書いてメールの「Enter」ボタンを押した。

次の仕事も決まっていなかったが、とにかくこのままでは精神が持たないと思った。

48歳の元幹部自衛官は、ついに無職となってしまった。