戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第179 -帰国-

腰の状況は悪く、何とか歩くことができる程度だった。

毎日、物凄く陰鬱な時間を過ごす。

そのような状況の中、後任者がやってきた。

防大の一つ後輩である。

2年半前に自分が来た時と同じように様々な手続きのため後輩を連れて出かけた。

運転免許センターに行くと、後輩のビザでは運転免許が取れないという問題に出くわす。

規則がコロコロ変わる米国アルアルだ。

そんなことにめげずにワシントンの日本大使館に掛け合う。

嗚呼、めんどくさい。

本来なら家族ぐるみで夕食会などして、残り少なくなったコロラド生活を噛み締めたいところだが、私にはそんな心の余裕が無かった。

後輩も私の腰の状況を心配してくれた。

珍しくコロラドにも大雪が降る早朝、まだ暗い中、ついに私たち家族の帰国日となった。

腰の薬を大量に飲んでいたため、寝不足も相まって頭はふらふら状態だった。

このため帰国途中の飛行機での移動についてはほとんど記憶にない。

どうしてこんなことになったのだろう?

意気揚々と渡米した自分が、今度は満身創痍で帰国の途につく。

成田空港には同居する妻の父母が迎えに来てくれた。

しかし、私はよちよちと子供のよう遅くしか歩くことができなかった。

明日は市ヶ谷の航空幕僚監部に出勤しなくてはならない。

自分の不幸を呪った。