戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第36 -悔し涙-

ついに自分も上級生のシバキを食らう羽目になった。

朝の服装容儀点検中に後ろから誰かが私のかかとを蹴った。

振り返ると空手部主将の4年生だった。

「靴磨いたんか!」

靴は一通り磨いていいたが、言い訳は許されない。

「いいえ」と答えるしか選択肢はなかった。

「消灯後、俺の部屋に出頭せよ」と空手部主将に宣告されてしまった。

その日ずっと授業や部活どころではなかった。

夜、消灯ラッパが鳴ると、空手部主将の部屋をノックする。

部屋に入ろうとすると、入室要領が悪いと何度もやり直しさせられる。

しまいには襟首をつかまれ壁にたたきつけられた。

30分ぐらいして、ようやく入室が許されると、「なぜ呼ばれたかわかるか?」と問われる。

「靴をきれいに磨いていなかったからですぅ」と答えるしかなかった。

「では、姿勢とれ!」と罰として腕立て伏せが始まる。

どれだけの回数と時間が経過しただろうか?

床に崩れ落ちては上体を腕でかろうじて支えるのを繰り返す。

腕立てをすると「3つの水たまり」ができる。

2つは、両方の手のひらの周りに汗でできた水たまりである。

そしてもう一つは顔の真下の床の上にも水たまりができる。。

汗と鼻水と涙が混じった水たまりである。

歯を食いしばり泣きながら腕立ては延々と続いた。

ただただ悔しかった。

防大生は犬や猫じゃないと。