戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第37 -やくざ坂-

防大は小原台の丘のてっぺんに建っている。

東京湾を独り占めできる絶景の場所である。

防大の周囲には特に何も無いが、唯一、立派なお屋敷が建っている。

そのお屋敷は、日本で超有名な大親分のご自宅だった。

よく、若い衆が大きな犬を散歩させているのを目にしたことがある。

その大親分について防大生の間である都市伝説がよく語られていた。

昔、昔、横須賀の街でチンピラに絡まれている女性を防大生が助けたそうだ。

その女性は、横須賀一帯を縄張りにする親分の娘さんだったそうだ。

その防大生は、親分さんに大変気に入られ、結局自衛官にはならず、婿入りして親分の跡目を継いだそうだ。

その防大生が、その後、防大の隣に現在の邸宅を構えたという。

だから、防大生が横須賀の街でいくらやんちゃしても、大目に見られるという伝説である。

これも伝説の一つだが、空手部や少林寺拳法部が度胸試しで横須賀の街でチンピラに喧嘩を売っていたというのもあった。

兎にも角にも、親分になるのも幹部自衛官になるもの、人の上に立って武力集団を率いるという点は似ている。

その都市伝説は本当だったのだろうか、ガセだったのだろうか?

謎である。