戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第20 -アクシデント発生-

GWが終わり、大学生の一般教養に相当する授業が開始されるようになった。

ある日、毎週朝に行われる服装容儀点検で隣の部屋の4年に目をつけられてしまった。

 キツネ目に眼鏡をかけた陰湿そうなその4年は、私に罰として毎朝一週間、自分のところに服装容儀点検を受けに来るように命じた。

最悪の一週間の始まりだった。

その夕方、アメフト部の練習に参加した。今年の新入部員は例年に比べて多く、30名が入部した。

1年は、まだアメフトに耐えられる体力がないため、夏までは体力作りのためのトレーニングが行われる。

レーニング係の3年が、かなりのハイペースで駆け足の集団を引っ張る。

集団に遅れまいと無理したのが悪かった。

アスファルトの端っこの段差で足首をひねってしまった。

相当の速いスピードが出ていたためひねった足首に全体重がかかってしまった。

すぐに足首がみるみるうちにソフトボールくらいに腫れあがり、医務室で見てもらうことになった。

翌日、私は、東京にある自衛隊中央病院で精密検査を受けるため、官用車の座席の中にいた。

その時の私の心境というのは、怪我をしてしまったことに対するショックよりも、「ああ、もうこれであの陰湿な4年の服装容儀点検を受けなくても済む」という晴れ晴れした気持ちだった。

精密検査の結果、足首の靱帯損傷と剥離骨折で、手術が必要というものだった。

このため、私は防大に戻ることなく、そのまま自衛隊中央病院に入院となった。

少しホッとした気持ちだった。