戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第41 -最後の登竜門 カッター訓練-

2学年に進級した。

まだパイロットになれるかどうかは分からないが航空要員になることはできた。。

2学年にになると最後の登竜門である「カッター訓練」が行われれる。

4月末に中隊対抗のカッター(ボートのようなもの)競技が行われ、これに向けた特訓が1か月間続く。

これが終われば、自由が与えられ、シバかれることもほぼなくなる。

指導役は4年生が行う。

まずは、体力増強フェーズから。

駆け足、うさぎ跳び、腕立て伏せなどカッターを漕ぐための筋力増強と称してものすごいシゴキが行われる。

「嗚呼、花の応援団」の世界である。

実際に海上でカッターを漕ぐフェーズに入ると、皆、売店で女性用の生理用品を買う羽目になる。

カッターを漕ぐときに尻の皮が剥けて出血するためである。

実は私はカッター免除だったため、一度しか漕いだことがなかった。

アメフト部のような勢力のある部活は、主力選手を練習に専念させるためカッター免除が認められていた。

このためカッター訓練の苦しさはあまり実感したことがないが、アメフト練習の方がずっと危険で大変だと思っていた。

そんな私だが、夜のカッター訓練は付き合わなけらばならなかった。

夜の自習時間の中休みに体力増強というシバキが始まる。

自室のドアを開け、ドアの梁にぶら下がる。

4年生が一部屋ずつ見回り、耐えられなくて落下した者に制裁を加える。

私は、歯を食いしばってぶら下がっていたが、腹にボディーブローを食らった。

カッター免除者に対する特別制裁だった。

カッター競技で優勝すると特別外出(外泊)一日がご褒美としてもらえる。

競技が終わったその日から、堂々と校内で喫煙が認められた。

月1回の外泊が認められ、外出して居酒屋で酒を飲むこともできた。

ようやく犬猫の扱いから少し前進した。