戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第42 -恋のインターセプト事件-

5月にアメフト部新入生歓迎ダンスパーティー、通称「ダンパ」が開催された。

ダンパは新入生の勧誘の目玉だった。

晴れて2学年となった私は私服に着替え、ダンパ会場となる横浜・関内にあるディスコに向かった。

当時、防大生にとってダンパは女性と出会う貴重な機会であり、横浜のディスコなどを貸し切って部活や中隊ごとのダンパが盛んにおこなわれていた。

同じ学年のM学生が横須賀の看護学校のコと付き合っていて、今回、彼女の友達を私に紹介してくれるというのだ。

開始時間より少し遅れてディスコに到着した私は、期待に胸を膨らませて、VIPルームに入った。

部屋の中には、すでに大勢のアメフト部員と女子がいた。

しかし、一向に同期のM学生は私に女の子を紹介してくれない。

おかしいと思い、友人に訪ねると、早く来ていた4年生が、そのコのことを気に入って口説いてしまったらしい。

アメフトでいう、「インターセプト」をされてしまったのだ。

モテ男とはほど遠いその先輩は、バツが悪そうに「ごめんなー」って私に謝った。

まだ話しすらしたことのない女性に対して想い入れはなかったが、少しがっかりした。

男好きのする顔の彼女はそのまま先輩と付き合うことになり、その後、陸上自衛隊に進んだ先輩と結婚した。

お互い自衛官になった後にその先輩と再会する機会があった。

その時も先輩はふざけて「ごめんなー」って私に言った。

どうとも思わなかった。

その後、先輩が離婚したと人から聞いた。