戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第102 -残りモノの国内養成組-

コースBは、米空軍による飛行教育を受ける米留組と、そのまま国内の養成課程に進む国内組に分かれた。

国内組となった私は、基本操縦課程履修のため「残りの同期」と浜松基地にやってきた。

なぜか国内組は「残り者」という寂しさはあった。

しかし、そうも言っている暇はなかった。

ここの課程が一つのヤマであり、ここを終えると、晴れてパイロットと認められ、パイロットの証であるウイングマークを胸につけることができる。

しかし、反対に航空自衛隊パイロットとふさわしいか、最終的なふるいにかけられる場でもあった。

また、この課程では国土交通省事業用操縦士免許を取得しなければならず、国が認めたパイロットとしてふさわしい知識や操縦技量も習得しなけらばならない。

米留組には負けるわけにはいかなかった。

搭乗する練習機は川崎重工製のT-4双発ジェット練習機だった。

はじめてコックピットに座った時の第一印象は大切である。

第一印象が良いと、その課程は案外スムースにいくことが多かった。

私は、これを「コックピット占い」と名付けていた。

T-4練習機のコックピットに初めて座ったとき、比較的広い座席、目の前の計器やスイッチはまだ新しく、胸の高鳴りを感じた。

私は、連続離着陸訓練を行うT-4練習機を見ながら、気持ちを奮い立たせていた。

穏やかな浜松の初夏の気候が一層、そうさせるような気がした。