戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第63 -魅惑の卒業ダンスパーティー-

高校同級生のYちゃんとは卒業ダンスパーティーに向けて週に数回、電話で連絡を取っていた。

というか、毎回10分も満たない電話での会話が待ち遠しくてたまらなかった。

夜の自習中休みに外の電話BOX目掛けてダッシュする。

電話BOXに先に下級生が入って喋っている時など下級生にとってはものすごいプレッシャーである。

電話BOXに上下関係はない。

毎日電話BOXの争奪戦が繰り広げられた。

卒ダンまでダンス部主催の練習会が数回開かれる。

パートナー斡旋の学生はそこで初めてパートナーと出会う。

私はパートナーが決まっているので、男どうしでペアを組んで練習会に参加したが、当日にパートナーをリードしなければならないため必死だった。

Yちゃんの依頼により新高輪プリンスホテル近くの美容院を予約したり、レンタルのドレスが入った巨大な荷物を防大で受け取り、当日新高輪プリンスホテルまで運んだ。

芸能人の結婚式などが行われる飛天の間でのダンスパーティーは壮大に執り行われた。

ドレスに着替え着飾ったYちゃんは他のどのパートナーよりも美しいとさえ思った。

巨大なシャンデリアが織りなすカクテル光線の中、ワルツ、ジルバなど青年将校とお姫様の華麗な舞踏会が夜遅くまで続いた。

私が防大に入って最も輝いた瞬間だった。

翌朝、Yちゃんと一緒に朝食をとった。