戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第57 -三角関係-

防大生としての最後の夏休みを実家で過ごした。

いったいどういう経緯でそうなったのかよく覚えていない。

私は、高校同級生の男性I君と女性Yちゃんと3人で市内の公園で遊んでいた。

I君は、現役で東京の有名私立大学に合格し、弁護士を目指していた。

西新宿のボロアパートで独り暮らししていて、何度か遊びに行った仲だった。

イケメンで紳士的で、周りからも人気があった。

Yちゃんは、高校2年時に同じクラスになったコだった。

東京の短大を卒業後、Uターンし、市内の有名損保会社に就職していた。

派手でブランド物が好きで、当時の言葉で言えば、まさに「イケイケ」だった。

高校卒業後、別々の道を歩んだ3人が、なぜだか一緒にボートに乗ったり、夜遅くまで楽しく過ごした。

そうなると、私は俄然、I君にライバル心を燃やすようになっていった。

「Yちゃんを取られたくない」という男心だった。

ついには、私はYちゃんと二人で会う約束を交わした。

勝手に自分がI君に勝利したような気分だった。

そうして私は、こう切り出した。

「卒業ダンスパーティーにパートナーとして来てほしい」と。

防大生最後のビッグイベント「卒業ダンスパーティ」が2月に新高輪プリンスホテルで開催される。

彼女がいない4年生は、他大学からの「斡旋」という手もあったが、私は高校の同級生にパートナーをお願いした。

その時は、Yちゃんから明確な返事はもらえなかったが、数か月後、彼女から「東京に行く」と返事をもらった。

これは恋なのか?