防大生としての最後の夏休みを実家で過ごした。
いったいどういう経緯でそうなったのかよく覚えていない。
私は、高校同級生の男性I君と女性Yちゃんと3人で市内の公園で遊んでいた。
I君は、現役で東京の有名私立大学に合格し、弁護士を目指していた。
西新宿のボロアパートで独り暮らししていて、何度か遊びに行った仲だった。
イケメンで紳士的で、周りからも人気があった。
Yちゃんは、高校2年時に同じクラスになったコだった。
東京の短大を卒業後、Uターンし、市内の有名損保会社に就職していた。
派手でブランド物が好きで、当時の言葉で言えば、まさに「イケイケ」だった。
高校卒業後、別々の道を歩んだ3人が、なぜだか一緒にボートに乗ったり、夜遅くまで楽しく過ごした。
そうなると、私は俄然、I君にライバル心を燃やすようになっていった。
「Yちゃんを取られたくない」という男心だった。
ついには、私はYちゃんと二人で会う約束を交わした。
勝手に自分がI君に勝利したような気分だった。
そうして私は、こう切り出した。
「卒業ダンスパーティーにパートナーとして来てほしい」と。
防大生最後のビッグイベント「卒業ダンスパーティ」が2月に新高輪プリンスホテルで開催される。
彼女がいない4年生は、他大学からの「斡旋」という手もあったが、私は高校の同級生にパートナーをお願いした。
その時は、Yちゃんから明確な返事はもらえなかったが、数か月後、彼女から「東京に行く」と返事をもらった。
これは恋なのか?