指揮幕僚課程には毎年50人の学生がいる。
成績をつけ、卒業時には1番から50番まで順番を決めて、航空幕僚監部補任課に報告しなければならない。
上位になると昇任にプラスになり、下位になるとマイナスとなり、指揮幕僚課程に行かなかった方が良かった、なんて言われることがあるが、真意は定かではない。
最終的な順番を決めるのは私ではなく課程主任であるが、課程主任補佐として個々の学生について助言を求められることはあった。
私は業務上、指揮幕僚課程学生の卒業成績を保管してあるキャビネットのカギを管理していた。
つまり、自分が学生の時の卒業成績を見ることができたのだ。
しかし、私は課程主任補佐に上番してからずっと自分の卒業成績は見ないようにしていた。
もし、成績が悪かったら、普通にショックを受けるだろうし、もし成績が良かったら、落ちぶれてしまった今の自分を悲観するだろうと思ったからだ。
しかし、一年ほど経ったある日、何かのはずみで自分の卒業成績を見てしまった。
良くも悪くもない微妙な成績だった。
とにかく過去の栄光に捉われず、地道に目の前の業務に精進する気持ちが大切だった。
しかしその時の私にはその意味がわからなかった。