戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第195 -幹部高級課程入校-

指揮幕僚課程学生の担任の先生は一年で終了した。

そして、幹部学校所属のまま幹部高級課程の学生となり、一年間、目黒で勉強することになった。

最上級生は防大の4つ先輩で、私ともう一人の同期は最下級生となった。

最下級生は先輩たちに従い雑用的な業務を行なっていればよく、気楽なものだった。

幹部高級課程は、安全保障などを専門とする大学教授やシンクタンクの研究者など日本の第一人者を講師として招き、ゼミなどが行われた。

その中にはテレビのコメンテーターを務めるような有名な方もいた。

自衛隊のお偉いさんで、退官後も安全保障の研究を行なっている方はいるが、知識量という意味では大学の先生の方がはるかに上だった。

兎にも角にも、もう一度海外で活躍したいという夢が途絶え、少しモチベーションが下がっていた私は、純粋な気持ち学習することに興味を持ち、課程履修に励んだ。

幹部高級課程では、一年間の集大成として研究論文を提出しなければならない。

米空軍士官学校勤務時に米空軍で教育していたある軍事戦略をテーマとして研究したいと考えていた。

それは日本ではまだ紹介されていないものだった。

もしその軍事戦略について書かれた本が無ければ研究することは無かっただろう。

米国から帰国後、一度も開けていない段ボールの中に他の書物と一緒に保管されているのではないかと懸命に探した。

そしてその書物を発見した。

偶然にもその時の書籍を私は日本に持ち帰っていたのだ。

これで研究テーマは決まった。

あとは論文指導の先生を見つけるだけだった。