戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第196 -犬食の想い出-

幹部高級課程は下半期から陸海空合同課程となる。

そしてその統合幹部高級課程には海外研修があった。

通常は3カ国くらいに分散するのだが、今年は全員韓国研修であった。

韓国合同参謀本部や韓国軍部隊、そして在韓米軍司令部などを見学した。

幹部高級課程の学生の中に韓国空軍からの留学生のN中佐がいた。

私たち学生たちはN中佐に、食用犬を提供する店を案内して欲しいと頼んだ。

明洞の繁華街の中、小道に入るとひっそりとその店はあった。

この手の店は「季節料理」と控えめに看板を出しているらしい。

韓国社会の中で、最近は専ら病気回復後の滋養強壮として犬食の風習がある程度で、誰でも犬を食べているわけではないとのことだった。

食用にされるのは生まれて4カ月くらいの幼い犬だった。

大きな木のまな板の上に醤油で煮込まれた肉が運ばれてきた。

横に添えられた、茹でたほうれん草のような野菜が、いかにも匂い消しのようで不気味だった。

皆、恐る恐る犬肉に箸を付けた。

醤油で煮込んだ豚肉のようだった。

少しゼラチン質のようなものが多目だった。

私の席の前に座った先輩は、ほとんど口を付けずに私に自分の分も食えと指図する。

どうやら自宅で犬を飼っていて、心情的にとても食べられないとのことだ。

その後、得体の知れない一品料理が乗った皿が回って来た。

皆が箸をつけた後、それは犬のペニスだと種明かされた。

皆、ほとんど残して、韓国焼酎のチャミスルばかり飲み続けていた。

まるで口の中の犬の味を消すように。