韓国研修から帰国してしばらくすると、今度は韓国国防大学で学ぶ同年代の将校たちが来日した。
そしてその一行を私たち高級幹部課程の学生が祝宴を開いてもてなすことになった。
市ヶ谷の防衛省近くのホテルで開かれたその立食パーティーで、なぜか私のテンションは爆上がりだった。
宴会が始まるや否や、韓国軍の学生に「バクダン」の一気飲みを仕掛けた。
バクダンとは、ビールと韓国焼酎のちゃんぽんで、韓国流の危険な飲み方だった。
何度も何度もバクダンを韓国軍人たちと繰り返し、私たちのテーブルだけ異様な盛り上がりを見せていた。
しかし、私の記憶はここまでしかなかった。
どうやらひどい酔い方をして、先輩に介抱されながら命からがら帰宅したらしい。
急性アルの一歩手前だった。
地下鉄の階段で転がり落ちたらしく、朝起きると体中、血だらけになっていた。
帰宅後も家で大変なことになっていたらしい。
それ以来、当分お酒を飲むのが怖くなった。
後日、宴会に参加していた先輩たちに聞くと、私は宴会が終わるまでハイテンションで韓国軍将校たちに一気飲みを挑み続けていたらしい。
それに対して韓国軍将校たちは「日本にサムライがいた!」と驚きと畏怖の念を抱いていたそうだ。
プライド高い韓国軍を唸らせたのは嬉しいが、もう2度とバクダンはやるまいと誓った。