戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第49 -こつこつ貯めて-

3年の春、「人間」なった。

もう、上級生の目を気にしてビクビク生活する必要が無いことを知る。

勉強は落第しない程度に、学生舎生活は適当に。

あとはアメフト部だけに全努力を注いだ。

ところで春と秋に総額2万円くらいで教科書を購入しなくてはならない。

学生手当とボーナスをもらえたが、税金と部活費を引きと残りは多くなく、休日に横須賀の居酒屋で飲み食いするとほとんど残らなかった。

この時だけ、教科書代を親におねだりした。

一般の大学に通えば学費だけで年間数十万円かかる。

少しくらい子供に出費させるのが逆に親孝行だとさえ勝手に思っていた。

また、この頃、どうしても将来欲しい高級外車があった。

ボルボのワゴン車である。

医師や弁護士など知的な職業に人気だった。

将来の購入資金を貯めるため倹約生活が始まった。

休日には朝食の余った食パンとジャムをもらってきては、これを昼食代わりにした。

下宿でも出かけることなく一人で余った食パンを食べていたので、アメフト部の同期からは「食パン野郎」とあだ名を付けられてしまった。

よく言えば、私は一度決めたことは徹底的にやる一途さがあった。

悪く言えば、唯我独尊、マイペースな人間だった。

こんな私に付き合ってくれたアメフト部の同期に感謝。