戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第50 -地元での部隊実習訓練-

3年の夏季定期訓練は、航空自衛隊基地での部隊実習であった。

私は希望が叶い、航空自衛隊千歳基地で1カ月間、研修を受けることになった。

研修の間は、幹部ではなく空曹士の部屋で一緒に寝泊りする。

将来の幹部自衛官として空曹士の生活や考えを実体験するというねらいがある。

1か月の間、基地内の様々な部隊を回って数日間ずつ研修を行う。

警備隊の研修では、一晩、寝ないで衛門で出入りする隊員の確認業務を行った。

少し派手めの私服を着た女性自衛官が夜に出門すると、一緒に警備についていた空曹隊員は「あれはディスコ・クイーンだ」と蔑む言葉を吐いた。

基地内の人間模様が見えてきて面白かった。

この研修のメインディッシュは、航空機の体験搭乗だった。

石川県の小松基地に研修で行くと最新鋭のF-15戦闘機に体験搭乗できると噂されていたが、千歳基地での体験搭乗は、古いT-33という練習機だった。

その時は「なぁーんだ」と落胆したが、F-15戦闘機はその後、何度も体験搭乗する機会に恵まれた。

反対に、T-33はそれが搭乗する最後の機会となった。

自分と同じ世代で後にも先にもT-33に搭乗したことがある者はそう多くは無い。

朝鮮戦争で活躍した歴史的な名機!?に搭乗した貴重な経験となった。