戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第106 -南基地の同期生-

フライトが開始されてが、相変わらず勉強漬けの毎日が続いていた。

土日も同部屋のY君と一緒に部屋にこもり翌週のフライトの準備に明け暮れ、外出と言えば正門近くのスーパーに昼食の弁当を買いに行くだけの生活だった。

浜松基地は北基地と南基地に分かれていた。

パイロット学生は北基地で訓練を行っている。

南基地には整備員などを教育する術科学校があった。

同じ時期に、防大アメフト部の同期生Mが南基地の整備幹部課程に入校していた。

再開するのは奈良の幹部候補生学校以来である。

整備幹部課程は10カ月間あり、この間、M3尉ら学生は基地内の寮に寄宿するが、車を保有することが許され、外出も自由であった。

中古で買ったというM3尉の流行りのセリカでM3尉は私をドライブに連れて行ってくれた。

防大幹部候補生学校と続いた不自由な生活から解放されて、ようやく「人間」として少し遅い青春を満喫しているという。

現在、北基地でいつクビになるか分からない緊張感のもと勉強漬けの毎日を送っている私からすると羨ましく映った。

ドライブを終え、北基地まで車で送ってくれたM3尉と別れた。

誰もいない学生寮に戻った私は、まだ少し気持ちが動揺していた。

南基地の同期が羨ましい。