戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第60 -決戦のボウルゲーム-

アメフトのリーグ戦が佳境を迎えていた。

次の試合は、ともに1敗どうしの青山学院大と事実上の決勝戦となった。

しかも、その試合は招待試合「善光寺ボウル」として長野市で開催されることになった。

大学アメフト不毛の地で関東大学アメフトのリーグ戦が行われるのである。

長野市の人々にとっては、「正義の青学vs悪の防大」と見えるのではないかと思った。

とにかく青学の選手たちは格好良かった。

茶髪のロン毛に赤いバンダナを巻く渋カジ風のQBは敵ながら惚れ惚れするほどだった。

可愛いマネージャーもたくさんいた。

防大の選手は皆、今度生まれ変わったら青学か上智のアメフト部員になりたいと冗談でよく言っていた。

試合は一進一退の好ゲームとなり、残り数十秒で逆転のタッチダウンパスが決まり防大の勝利で幕を閉じた。

帰りの新幹線の中では飲めや歌えやのドンチャン騒ぎとなった。

結局リーグ戦で優勝した防大一部リーグ中央大との入れ替え戦に進んだ。

マリンスタジアムで行われたその試合は僅差で敗れ、防大の一部昇格は叶わなかったが、悔いは無かった。

入部当初に手術を経験したがそれ以降4年間大きな怪我もなくプレーできた。

その間、沢山の仲間と苦楽を共有し、真の友情を育んだ。

胸を張って「私は防大アメフト学部卒です」と言える。