戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第173 -アメフト部員の気持ちは分かる-

米空軍士官学校での教官業務を何とかこなしていると、面白いエピソードがいくつかある。

受け持ちのクラスにアメフト部員が4名いた。

皆、190センチメートルはあるかと思うほど、はるかに私より大柄な学生である。

その学生たちは、決まって最前列に横一列になって席を陣取る。

さながらアメフトのラインたちのようである。

そして授業が始めるや否や、前かがみになって皆、居眠りを始めるのである。

自分が防大のアメフト部員だったころ、授業には全く興味がなく、夕方の練習に備えて授業中よく居眠りしていたことを思い出してしまった。

私はその時の罰を受けているのだと考え、居眠りしているアメフト部員をそのまま寝かせてあげた。

試験をするとやはりアメフト部員の成績は良くなかった。

しかし落第点にならないギリギリの「C」を付けて答案を返した。

Cという良くない成績をもらって彼らがどんな顔をするのか興味があった。

答案を返しながら彼らの様子を伺うと、彼らは「よっしゃー」と言わんばかりのガッツポーズをしていた。

4年間アメフト部で活躍することが彼らの目標なのだ。

だから学業の成績で落第点さえとらなければ彼らにとっては万々歳なのである。

自分の防大時代とあまり変わらない彼ら米空軍士官学校アメフト部の学生に心の中でエールを送った。

「Go AirForce!」と。