戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第121 -恩師との再会-

丁度、機種転換課程に入校中に新田原基地航空祭が開催された。

航空祭には、政治家や防衛産業の人など多くの招待者が訪れる。

私たち課程履修中の若手パイロットは、その招待者の接遇係となった。

招待者名簿の中に、防大時代のアメフト部の監督のKさんの名前を見つけた。

私が卒業後、定年退官して、今は某防衛産業企業に再就職して第二の人生を歩んでいた。

私は、隣の飛行隊でF-15機種転換課程を履修中の同期、F君を誘い2人でK監督を出迎えた。

私とF君は、レシーバーポジションのコンビで活躍した仲だった。

そして何よりも2人は、K監督から期待され、大変お世話になった間柄だった。

私はK監督が担当する防衛学の授業で、試合の次の日にもかかわらず居眠りしないでいたため、皆の前で大変褒められたことがあった。

監督の授業に居眠りなんてできない、というのが本音だった。

ものすごく照れくさかったが、成績は「A」だった。

K監督は、オレンジ色のフライトスーツを着た私たちが出迎えるのを見つけると大変驚き、そして目を細めて喜んでくれた。

自分の教え子2人が、航空自衛隊のエースである戦闘機パイロット になったのだ。

私たちも「監督、私たちはこんなに立派になりました」と言わんばかりに再会を喜んだ。

忘れられない一日となった。