戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第114 -追悼 M教官-

教官のM1尉は、まだ若く独身だった。

今度合コンを開催するので参加しないか?とM1尉から私たち学生パイロットに誘いがあり、みんなで参加することになった。

M1尉主催の合コンは、仙台市の繁華街、国分町で開催された。

M1尉も、私たち学生パイロットをダシに合コンを楽しんでいるかのようだった。

問題は、合コンの後である。

教官主催の合コンで知り合った女性からのアプローチには細心の注意が必要である。

M1尉を盾にグイグイ来られると雑な対応もできない。

「捕まって、逃げられなくなってしまう」可能性も否めないのである。

合コンで知り合った女性から何度か寮の当直室に電話がかかってきたが、何とか振り切ることができた。

ちなみに、一般大学出身の同期にM2尉は、真面目で温和な性格であるため、いじられキャラだった。

当直室によく「Mサン、イマースカ?」と電話がかかってきた。

たまたま皆で行ったフィリピンパブの女性からの電話だった。

フィリピンパブの女性にハマって、真面目な性格がゆえに電話番号を交換したのだろう?

私たちはそれを面白がって事あるごとに、M2尉に「Mサン、イマースカ?」とはやし立てた。

パイロットには「一撃離脱」の精神も必要なのである。

この6年後、M1尉(当時)は、ブルーインパルスの航空機事故で殉職した。

独身のままだった。