戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第104 -任侠教官-

基本操縦課程で印象的な教官にお世話になった。

ある週末の昼間、基地内を歩いていると、真っ白いクラウンが私たちの横で停車した。

運転席の窓が開くと、真っ白い上下のスーツを着て、パンチパーマにサングラスをした見るからにヤバイ人の格好をしたT1尉だった。

T1尉は、那覇基地の戦闘機乗りで、最近、浜松基地に転勤してきた教官だつた。

「おう、おめーらこれから何か用事あるんか?」

喋り方も完全にチンピラの話し方だった。

私たちは特に用事が無いと答えると、一緒に飲みに行くか?と誘われた。

後で聞くと、どうやらT1尉は最近基地正門前にできたフィリピンパブにハマっているらしかった。

一人で行くのは寂しかったのだろう。

その夜は、教官の奢りでフィリピンバブを堪能した。

1人7000円は大きい。

T1尉は怖い教官だったが、仁義を重んじる人だった。

課程を卒業した後も度々会うことがあったが、私はしっかり挨拶とお礼を欠かさなかった。

あの時はフィリピンパブを奢っていただき有難うございました、と。