戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第113 -当てた者勝ち-

搭載する20㎜機関砲を使った空対空射撃訓練がある。

標的曳航機が、幅1.5m、長さ5mくらいの横断幕のような標的を曳航し、これに訓練弾を撃ち込む。

訓練弾には色が付いているので、自分の色が付着していれば命中したことが分かる。

この空対空射撃は3次元空間で行うため、命中させるのはものすごく難しい。

標的に照準を合わせるのはもちろんであるが、自機の速度やGも一定にしないとまず当たらない。

まさにミリ単位の修正で標的を狙う。

また、訓練弾と言えども危険な訓練のため、厳格なルールの下で訓練が行われる。

標的を見失ったり、射撃距離を詰めすぎて最小射撃距離以内で射撃したものは、違反者として、即、基地へ帰還を命ぜられる。

教官が同乗して何度もこの訓練を行ったがなかなか当たらなかった。

地上では連日連夜、標的に対する照準が録画された自分のフィルムを見ては、イメージフライトを積み重ねていった。

最後に単独(ソロ)でこの射撃訓練を行う。

もう教官の助言は得られない。

コース内で最も多く当てた者は「トップガン」の称号が与えららる。

私は、このソロフライトで見事14発を叩き込んだ。

コースで最も多く命中した者は私だった。

私が「トップガン」となった。