機種転換課程の後半は、F-4改で戦技の基本を学ぶ。
いままで操縦した航空機よりはるかにパワフルで、しかも高性能のレーダーシステムにも慣れなくてはならない。
戦技は2機編隊で行うため、2人ずつペアを組むことになった。
何の因果か、私は幹部候補生学校で自衛隊を辞めて商社マンになることを二人で夢見たK君とペアになった。
似たような感性を持つ二人の相性は抜群だった。
お互い叱咤激励を繰り返しながら訓練に邁進した。
そして、全ての教育が終わり、皆、それぞれ小松、那覇、新田原の原隊に帰ることになった。
それぞれの原隊で更なる目標に向けて努力しなければならない。
技量未熟とみなされば、容易にクビになる現実がこれからも続く。
相互に暗黙のエールを送り新田原基地を後にした。
また、個人的には宮崎の温暖で自然豊かな気候と私たち自衛隊員を支持する地域性にとても良い印象を抱いた。
出来ることならこのまま新田原基地に居たい気持ちだった。
「これからが正念場である」と気持ちを新たにして、私は小松基地に向かった。