戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第141 -お笑い米軍基地-

飛行隊の小時松基地から三沢基地への移転は、飛行隊のパイロットと整備士など200名近い隊員の大規模な移動であった。

引っ越しは、お任せパックではなく、隊員による手作業だった。

本当は各家庭、「お任せパック」での引っ越しの予定だったが、急遽ブルーインパルスが米空軍創設記念行事に参加するため米国展開が決まり、その経費捻出のために私たちの引っ越し費用が使われたと噂になっていた。

私たち若手パイロットはいい引っ越し要員だった。

毎日毎日、官舎に行っては転入してくる仲間たちの引っ越し作業を手伝った。

しかし、若手パイロットたちの引っ越し作業は実にいい加減である。

巨大な冷蔵庫を数人で担いで狭い官舎の階段を上がるが、多少、壁などにぶつけてもお構いなしである。

「いくぞー」

「おーっ」

 ゴン!!!! 

「あっ」

というような感じである。

家主はたまったものではなかっただろう。

三沢基地は米軍基地なので基地の中にバーガーキングがあった。

私たちは、規格外の大きさの「Double Whopper with Cheese」が珍しく、よく食べに行った。

当時珍しかったドライブスルーに果敢に挑戦する猛者もいた。

もちろん注文は英語である。

しかし「Whopper」を何て発音するか分からなく、マイクに向かって「フーパー?」と連呼するが米国人店員になかなか通じなかった。

恐るべしバーガーキングである。