戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第142 -結婚させて下さい-

千葉のMちゃんの自宅にはよく泊まっていた。

Mちゃんのお母さんがいつ結婚するのか?と気にしているという。

私の中では、三沢基地に移動した夏に結婚するつもりだった。

いつものようにMちゃんが運転する軽自動車でMちゃんの自宅に向かった。

今日こそは結婚について切り出さなければならない状況だった。

車の中でだんだん緊張してきた。

私から出る汗や息によって車の窓ガラスが全て曇ってしまった。

彼女の両親と夕食をとり、テレビを見ながら落ち着いていると、突然彼女のお母さんが「あんたたちいつ結婚するの?」と切り出した。

今年の7月頃結婚したいと考えている、と私は咄嗟に答えた。

彼女にはまだプロポーズしていないのに。

翌日、正式に彼女にプロポーズした。

場所は銀座和光の交差点のど真ん中で。

何か思い出になる場所でプロポーズしたかった。

彼女は「はい」とだけ答えた。

思えば知り合ってから5年間、最初からいままでずっと遠距離だった。

遠距離が無理ならすぐに別れようと思ったが、彼女は一切不満は言わなかった。

お互い程よい距離感だったのか?

兎にも角にも、私はついに独身貴族に別れを告げる時が来たのだ。