戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第155 -沖縄旅行?-

三沢から沖縄まで戦闘機2機で往復するミッションがあった。

目的は何だったか今ではもう覚えていない。

隊長が以前那覇基地勤務だったことから隊長が無理矢理沖縄に用事を作ったのではないか?と囁かれていた。

兎にも角にも、隊長と私たち若手3名で三沢を離陸した。

もちろんガッチリ編隊を組んだままである。

途中、ほぼ雲中だった。

私は後席だったのでひどい飛行機酔いに襲われていた。

危うく吐く一歩手前のところだった。

途中、燃料補給のため経由した宮崎の新田原基地を離陸すると隊長は編隊を組んだまま有視界飛行で沖縄に向かった。

那覇まで有視界飛行で行くなんて普通考えられなかった。

途中で奄美列島の島々を背景にお互いに写真撮影を行った。

無事那覇基地に着陸すると週末は車を借りて若手3人で万座ビーチに出かけることにした。

一応隊長に声をかけると隊長も行くという。

結局4名で一日中ビーチで沖縄の初夏を楽しんだ。

しまいには、隊長に荷物番を頼み、私たち若手3人はさっさと海に飛び込む始末だった。

そんなことも許される雰囲気だった。

三沢へ帰るときも編隊を組んだままだった。

日本海上空で隊長機は高度をどんどん下げていった。

たぶん100フィートくらいだったと思う。

僚機として操縦していた私は流石にこれはビビった。

一歩間違えば、海面に接触する恐れがあった。

隊長機を信頼して、編隊を崩さず付いてくることが出来るか試されているかのようだった。

何度も隊長から叱咤激励を受けなががら私は編隊隊型の維持に努めた。

さながら真珠湾攻撃隊のようだった。

三沢での楽しい思い出である。