戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第156 -指揮幕僚課程受験勉強-

階級が1等空尉になると、将来の部隊長などの登竜門である指揮幕僚課程の受験が始まる。

正直なところ、この試験をパスしなければ出世は望めない。

防衛大出身者は誰もがこの試験の合格を目指すと言っても過言ではない。

受験資格は、概ね30代前半に合計4回のチャンスがある。

4回受験しても合格しなければ、受験資格を失う。

毎年約500名の幹部自衛官が受験して、合格するのは50名である。

この合格した50名は翌年1年間、指揮幕僚課程で教育を受け、その後、特別な人事管理を受け、偉くなっていく。

幸か不幸か、私の飛行隊では小松基地からの部隊移動の影響で飛行する機会が少なかった。

その分、指揮幕僚課程受験のための勉強時間は十分に確保する事ができた。

それと相まって、自分の飛行隊で発生した航空事故から、飛行隊長の指揮というものを真剣に考えるようになった。

ただカッコいいからパイロットになりたいと思い、若い頃には女の尻ばかりを追っかけていた自分がそんな風に考えるようになったのはとても以外だった。

こうして私の受験勉強は一年にも及び、その間、大量の読書や論文記述などの勉強を毎晩遅くまで行っていた。

このため実際の受験時には、全ての科目が予想した問題ばかりだった。

受験勉強をやりすぎてしまったのだ。

後々に上司から聞いたところによると、私は論文作成などの一次筆記試験は500人中トップだったらしい。

自分が飛行隊長になって2度と航空事故を起こさせないという強い気持ちの表れだと自分では思っている。