戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第157 -米国ミサイル訓練参加-

当時パイロットが参加できる唯一の米国での訓練は高射隊のペトリオットミサイル射撃訓練だった。

毎年米国テキサス州の陸軍施設で空自の高射部隊がミサイルの実弾射撃訓練を行っていた。

この訓練の要員として全国の飛行隊からパイロット2名の募集があり、私はこれに応募し、見事、選ばれた。

私は3か月間、現地で総務的な業務を担当することになる。

その時、妻が妊娠しており、予定日は丁度私が渡米しているときと重なった。

パイロット学生の時、米留を希望しなかった私は、それをとても後悔していた。

時代は変わって、パイロットでも英語が話せないと仕事にならない時代となっていた。

米留経験者で英語が堪能な者は、どんどん米国に行く機会が与えられるが、そうでない者は全くチャンスはなかったのだ。

妻に頼み込んで出産時の海外出張を承諾してもらった。

こうして、指揮幕僚課程の二次試験を終えると、急いで渡米することになった。

ちなみに、喋りがあまり得意ではない私にとって二次試験で高級幹部を相手にする口頭諮問はイマイチだった気がする。

合格の手応えは50%というところだった。

兎にも角にも私は、初めて出張で米国の地に踏んだのだった。