戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第168 -米空軍士官学校到着-

生まれて1歳8か月になる息子を連れて家族3人で渡米する予定だった。

しかし、ハプニングが起こった。

渡米前日、息子が発熱したのだ。

このため急遽、まず私一人で渡米し、あとから妻と息子が来ることになった。

空軍士官学校のあるコロラドスプリングス空港に前任者のO3佐が迎えに来てくれた。

防大の3期先輩で、同じF-4ファントム戦闘機のパイロットだった。

当面、基地内にある仮の住まいに住み、その間にO先輩から申し送りを受けることになる。

O先輩とご家族は2週間後に帰国する。

ところが、生活基盤を整える最初の段階で、つまずいてしまった。

O先輩が米国に来た2年半前とは、米国の様子がだいぶ変わってしまっていることが判明したのだ。

一言でいえば、米国社会は外国人に対し、かなり厳しくなってしまったのだ。

最初につまずいたのは自動車の保険だった。

O先輩が渡米してきた頃は、外国の軍人であっても、米国軍人と同じかなりの割引きで自動車保険に入ることができた。

しかし、前と同じ条件で保険に入ることができなく、保険に入るために高額な保険料を支払わなけれなならなかった。

手続き上の行き違いから、その保険会社と月6万円の契約をしてしまい、O先輩が慌ててオフィスに出向いて契約解除を申し込むドタバタが起こっていた。

時差ボケで体調も良くない上、慣れない環境でハプニングが続いた。

夕方、仮の住まいで一人になった時、不安で不安で、思わず大泣きしてしまった。

前途多難である。