戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第158 -テキサスの大地に立つ-

業務はミサイル射撃訓練を視察に来た空幕や航空方面隊司令部などお偉いさんの接遇係だった。

陸軍基地内に宿泊するお偉いさんを朝早くに車で迎えに行き、1時間くらい離れたニューメキシコ州にある砂漠地帯の演習場にお連れする。

日中は日本から来た高射部隊が行う実弾射撃訓練の模様を見学してもらう。

なかなかの迫力である。

夜は街に戻り、メキシコ料理店などを紹介して、一緒に夕食をとる。

もちろんお偉いさんの驕りである。

その後は、特別コースをご案内するのが通常である。

「ヌード劇場」にご興味はありますか」って。

つまり、アメリカならではのポールのあるストラップ劇場にご案内するのである。

もちろん興味が無ければご案内はしない。

しかし、大半のお方は「じゃ、行ってみようかな」と興味を示す。

仕事として何度ストリップ劇場に行ったことか。

もちろんドライバーなのでお酒は飲まない。

薄暗い劇場でぼーっとしていると、遠くの方でお連れしたお偉いさんが踊り子さんの上に乗っかっているのが見える。

「やってる、やってる」

接遇してお客さんが楽しんでいるのはいいことだった。

中には不満をぶつけてくる客人もいるのだ。

しかし、毎週毎週、日本からお偉いさんが来ては、早朝から夜中までドライバー係をさせられるとウンザリもする。

当時のパイロットが海外訓練に参加できる機会の実態はこんなものだった。