戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第170 -ついに英語での授業開始-

約半年間の猶予はあっと言う間に過ぎてしまった。

半年前、士官学校に到着した時は、教官なんて出来るわけないと強く思っていた。

しかし、時間だけは着々と進む。

いよいよ米空軍士官学校の軍事戦略学教官としてデビューすることになった。

私の担当クラスは3学年の2クラスで、1クラス約20名の士官候補生を受け持つ。

全部で10クラスある。

イギリス空軍からの教官もいるが、ほぼ米軍人と同じと考えれば、2クラスだけは外国軍人、つまり私から授業を受けることになる。

一学期4カ月間で、この間、1日おきに全部で42回授業を行う。

もちろん授業内容は毎回違う。

日本人の下手な英語で訳の分からない授業を受けたなんて学生から言われたくない、というのが率直な心境である。

授業開始前からドキドキが止まらない。

授業開始時間になり、教室に入ると既に学生が着席している。

一歩教室に入ると教官はもはやダンマリするわけにもいかない。

航空機が離陸して脚を上げたら、もはや飛び続けなければならないのと似ている。

「Good morning everyone, how are you doing today?」と身振り手振りを交えながら授業を始めたのだった。

まさに離陸後の心境だった。