米空軍士官学校のあるコロラドスプリングは日本で例えるなら、さながら軽井沢という感じのところである。
ロッキー山脈の東の麓に位置し、自然豊かな全米屈指の避暑地として知られている。
空軍士官学校は広大な敷地の中にあり、あっちの山から向こうの山までが学校の敷地、という感じで、学校の敷地が一体どこまであるのか分からないというほどである。
その中に学校近くや職員などが住む居住地区がある。
また学生の訓練用の滑走路なんかもある。
正門から学校地区までは車で20分くらいかかるので、敷地内の広さが窺える。
金曜日の午後になると同僚の教官たちはさっさと帰宅してしまう。
私も、自宅に帰り裏庭で家族と一緒にバーベキューをやるのが毎週の日課となった。
足をもう一つの椅子に放り出してロッキー山脈に沈む夕日を見ながら、フローズンマルガリーターをいただく。
妻と息子は野生のリスにひまわりの種をあげている。
隣の家に住む米軍人家族も裏庭で遊び始める。
すると隣の家の小さな娘さんが私の息子を追いかけ回す。
息子ははしゃぎながら逃げまわる。
コロラドの初夏、夕方のいつもの風景だった。
しかし日本では決して味わえない経験である。
もう一生このままでもいい、とさえ思った。