戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第192 -防衛駐在官の夢-

幹部学校に着任してしばらくした後、思いがけない所から声がかかった。

案件は、私が数年後の防衛駐在官候補者として名前が上がっていて、空幕補任課が面接試験を行うという案内だった。

正直、嬉しかった。

米空軍士官学校勤務で将来は防衛駐在官としてもう一度海外で活躍したいと思うようになったが、ひどい腰痛でその後、思うように活躍することが出来なかった。

幹部序列も下がり、自分にはもう海外で勤務するチャンスは無いものと半ば諦めていたからだ。

藁にもすがる思いで空幕補任課班長との面接に臨んだ。

しかもその班長は、昔、同じ飛行隊の2個先輩だった。

なんとかしてくれるのではいか?という気持ちが無かったわけではない。

面接後、半年が経ったが、結果については何も連絡が無かった。

偶然、その先輩が幹部学校を訪れたので、挨拶がてら防衛駐在官選抜のための面接の結果について聞いてみた。

その先輩の一言が今でも忘れられない。

「他にもピカピカがいっぱいいるのでお前は無理だよ」と先輩は私に向かって言い放ったのだ。

自分は、序列が高い者たちの「咬ませ犬」として面接を受けただけだということだったのだ。

健康を損ない、満足に活躍できなかった私にはもはやチャンスは与えられないのだと。

その時、私の心の中で糸がプツリと切れる音がした。

この出来事が私の人生の大きな転換点となったのかもしれない。

以降、私は自暴自棄になった。